日本の「生涯未婚率」は上昇を続けており、2030年には男性の未婚率が3割に達するとの見立てもあります。統計をみる限り単身者は「賃貸暮らし」を選ぶ傾向が強く、そのため対策を怠ると、いつか高齢者と呼ばれる年齢になったときに想定外の苦労を強いられることも。詳しくみていきましょう。
平均資産額1,300万円超だが…“人生の自由”を謳歌する「おひとり様」が老後に直面する〈悲劇的な事態〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

2030年、男性の生涯未婚率は「3割」に達するとの見立ても

生涯、結婚はしないであろう……そんな人の割合を生涯未婚率といいます。「45~49歳」と「50~54歳」の未婚率の平均値から「50歳時」の未婚率を算出したもので、実際に未婚だった人の割合ではないため誤差は生じますが、おおよそ一致するものとして用いられています。

 

2020年の国勢調査によると、生涯未婚率は男性28.3%、女性は17.8%。1990年の調査では男女がそれぞれ5.6%、4.3%でしたから、この30年間だけをみても、ライフイベントとしての「結婚」に対する価値観が大きく変わっていることがわかります。生涯未婚率は今後も上昇を続け、2030年には男性の未婚率が3割に達するとの見立てもあります。

 

たしかに独身であれば、働いて得た給与は日々好きなことに使えますし、家族がいる場合に比べて時間的な余裕もあるでしょうから、人生を自由に謳歌できそうなものです。そんな生活が原因かどうかは定かではありませんが、単身者は、老後を見据えて資産形成に課題を抱えている人が多いようです。

 

金融広報中央委員会『令和4年 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]』によると、老後を見据えて資産形成を進めている(=金融資産を保有している)単身者の割合は、65.5%。「二人以上世帯」76.9%に比べ、10%以上低くなっていることがわかります。

 

また年代別では、20代:57.9%、30代:67.6%、40代:64.2%、50代:60.4%、60代:71.5%、70代:71.7%と、すべての年代において、二人以上世帯を下回っています。ただ、金融資産を保有している人たちの資産額は平均1,348万円。

 

1人で生きていくには十分な金額であるようにも思えますが、平均値は大きな資産を保有する一部の人が数値を引き上げている可能性があるため、中央値をみてみると、二人以上世帯が750万円であるのに対し、単身世帯は450万円。

 

すべての年代において単身世帯のほうが額が少なく、自由気ままなライフスタイルゆえに、資産形成が後回しになりがちだというのが実態だといえそうです。

 

年代別「金融資産」保有率
数値左:単身世帯、右:二人以上世帯

20代:57.9%/64.3%
30代:67.6%/76.1%
40代:64.2%/73.9%
50代:60.4%/75.6%
60代:71.5%/79.2%
70代:71.7%/81.3%
年代別「金融資産保有額」中央値
数値左:単身世帯、右:二人以上世帯

20代:110万円/200万円
30代:270万円/390万円
40代:374万円/500万円
50代:610万円/810万円
60代:950万円/1,270万円
70代:1,000万円/1,200万円

出所:金融広報中央委員会『令和4年 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査、二人以上世帯調査]』より