金融機関によってさまざまですが、住宅ローンによる借入可能な額は、およそ年収の7倍とされています。しかし、借入限度額内の住宅ローンの資金計画を立てていたAさんは、事前審査に落ちてしまいます。一体なぜでしょうか。本記事では、住宅ローンの資金計画の注意点とともに、審査に通りやすくなる方法をCFPの伊藤貴徳氏が解説します。
年収900万円の40歳・広告代理店課長が〈5,600万円の住宅ローン事前審査〉に「落ちた」ワケ…「否認」から一発逆転する方法をCFPが助言 (※写真はイメージです/PIXTA)

審査に通らなかった理由

Aさんは昨年、子供も大きくなってきたこともあり車を買い替えました。コンパクトカーからファミリーカーへ乗り換え、購入価格は500万円。

 

当時から住宅の購入も意識をしていたため、なるべく現金はマンションの頭金に充てようと、カーローンを利用していました。

 

カーローンの条件

・借入期間 5年間
・借入金額 500万
・金利 8%
・毎月返済額 10万1,382円
・返済総額 608万2,920円

カーローン、住宅ローン合わせて返済比率は計算される

結論からいうと、住宅ローンを組む前にカーローン等のほかのローンを利用していると、ほかのローンの返済額も返済比率に入れる必要があり、住宅ローン借入の際に不利に働くことがあります。返済比率とは、収入に対して何パーセントの割合でローンを支払っているかを表した数値をいいます。

 

金融機関にもよりますが、一般的に返済比率は30%以内にとどめることが求められます。

 

Aさんの場合の返済比率

900万(手取り720万円として計算)の返済比率30%は月18万円

月18万円までは返済OK

 

返済額

・カーローン10万1,382円
・住宅ローン16万5,101円

→合計 26万6,483円

 

返済比率をオーバーしているため住宅ローン否認

住宅ローン審査を通すには?

Aさんの住宅ローン審査を通すには、返済比率を金融機関指定の30%以下にする必要がありました。そのため、マンションのための頭金をカーローンの全額返済に充てました。カーローンを完済した分、返済比率を下げて住宅ローンを組むという形で、返済比率内での借入を図ったのです。

 

住宅購入のための頭金の一部をカーローン返済に充て、残りを住宅頭金へ充てた具体例

車:残債400万円を頭金で完済

 

マンション:7,000万-頭金1,000万=6,000万の借入

 

月々返済 17万6,894円

 

返済比率の18万円以内に収めることに成功