金融広報中央委員会の調査によると、老後資金の目標額として「2,000万円」を掲げる人が多いようです。19年頃に大きな話題になった「老後資金2,000万円不足問題」がきっかけになっているものと思われますが、「2,000万円」という目標設定は適切といえるのでしょうか。詳しくみていきましょう。
2,000万円貯めたから〈老後は安泰〉のはずが…“平均的な暮らし”の老夫婦を待ち受けていた、いくつもの「想定外」 (※写真はイメージです/PIXTA)

老後に向けて「2,000万円は貯めておきたい」

日本ではもう何年も前から「貯蓄から投資へ」というスローガンが叫ばれています。また19年頃には「年金だけでは老後資金が不足する」と、自助努力による資産形成の必要性が指摘されたことから、もともと“貯蓄好き”とされる日本人の間でも、運用に興味・関心を持ったり、実際に始めてみたりする人は増えているようです。

 

金融広報中央委員会『家計行動に関する世論調査(令和4年)』をみると、年齢を重ねるごとに金融資産の保有額も増加していることがわかります。とくに50~60代にかけてグッと増え、2,000万円ほどの資産を携えて老後生活に突入していくというのが平均像といえます。

 

【金融資産保有額】

20代:339万円/200万円
30代:697万円/390万円
40代:1,132万円/500万円
50代:1,648万円/810万円
60代:2,317万円/1,270万円
70代:2,360万円/1,200万円

※数値左より、平均値/中央値
出所:金融広報中央委員会『家計行動に関する世論調査(令和4年)』

 

また、同調査では資産形成の目標額についても尋ねています。全世代平均は2,976万円、中央値は2,000万円です。年代別に目標額の中央値を比べてみると、20代は600万円、30代は1,000万円、40代は1,500万円で、50~70代は2,000万円と回答。

 

現役を引退し、年金生活を迎えるにあたり、やはり「2,000万円は貯めておきたい」と考える人が多いようです。

 

【金融資産「年齢別」目標額】

20代:1,330万円/600万円
30代:2,974万円/1,000万円
40代:2,824万円/1,500万円
50代:3,139万円/2,000万円
60代:3,046万円/2,000万円
70代:3,162万円/2,000万円

※数値左:平均値、右:中央値
出所:金融広報中央委員会『家計行動に関する世論調査(令和4年)』

 

50代以降の多くの人が、冒頭でも触れた「老後2,000万円問題」を強く意識している様子。一方で、目標額と実際の資産額(中央値)の間には50代で1,200万円弱、60・70代で800万円ほどの差があるというは少々気になるところです。