日本の会社に色濃く残る「年功序列」と「学歴格差」
サラリーマンが収入アップを実現する方法は、転職や副業などさまざまですが、もっとも王道なのが、いまの勤め先で上の役職をめざすこと。
それでは実際、役職が上がることでどれほどの給与アップが望めるのか、平均値をみていきましょう。
厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』で男性・大卒サラリーマン(正社員)の役職ごとの給与水準をみてみると、「非役職者」の推定平均年収は543万5,400円。一方の「役職者」は825万8,300円で、その差はおよそ300万円。
以下、役職ごとに詳しくみていきましょう。
まずは「係長」。平均年齢は43.7歳で月収39万200円。ボーナス等を含む推定年収は669万5,300円。同年代の非役職者と比べ、166万円ほど年収が高いことがわかります。続いて「課長」(平均年齢48.1歳)に昇進すると、月収52万5,500円で推定年収は858万1,700円。係長からさらに200万円近く年収が上がっています。同年代の非役職者との年収差は230万円ほど。
そして「部長」(平均年齢52.7歳)ともなると、月収63万5,700円・推定年収1,000万8,300円。課長時代からさらに150万円弱の年収アップを実現し、ついに大台に乗ります。同年代の非役職者との差は320万円超にまで広がります。
ただ、同じ役職に就いていても、年齢が高いほど給与も高い、というのが日本社会の特徴です。
平均的なスピードで出世した役職者と、30代前半にして同ポジションに就いたエリートの給与を見比べてみると、30代前半のエリート係長の年収が588万円であるのに対し、平均的な年齢の係長は675万円で差は90万円弱。同じく30代エリート課長は680万円であるのに対し、普通の課長は852万円で差は約170万円。
部長についてみてみると、30代は684万円であるのに対し、50代は1,098万円で差は400万円超にも上ります。あくまで平均値をみる限り、同じ役職であっても年齢によって給与には大きな差が生じており、いまだに年功序列の賃金体系が色濃く残っていることがわかります。
また、年齢に加えて給与に影響を及ぼすのが学歴。役職ごとの推定年収を「高卒」と「大卒」で比較してみると、高卒平社員と大卒平社員の間には、100万円近い差が生じています。
役職別に比べると、「高卒係長」と「大卒係長」では約50万円、「高卒課長」と「大卒課長」では約170万円、「高卒部長」と「大卒部長」では約250万円もの年収差が生じることになります。成果を挙げて役職に就けば、給与は上がっていく……そんなイメージを持っているサラリーマンも多いでしょうが、実際には「学歴による差は歴然」というのが日本社会の現状といえそうです。