男性の育休率、初めて3割突破! そんなニュースが話題となりました。いまや男性も育児に参加するのが当たり前の時代。しかし、そんな光景を他人事のようにみている人たちも。みていきましょう。
月収39万円・30代の大企業サラリーマン「育休取ります!」と宣言…思わず苦笑いする中小企業サラリーマンの「残念な給与額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

育休率アップと騒いでいるが、他人事と感じる中小企業サラリーマン

「男性も育休の取得⁉ どこの世界の話だよ」と、今回のニュースを苦笑いしながら聞いている人も。

 

同調査では「子育て世帯の年収」も明らかにしていますが、世帯収入は平均799万円で、その内訳は男性649万円、女性150万円でした。6歳までの子どもがいる男性ということは、30代後半がボリュームゾーンだと考えられます。厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、30代後半のサラリーマン(正社員)の平均給与は月収で34.1万円、年収で573.4万円。企業規模別にみていくと、大企業(従業員1,000人以上)で月収39.0万円、年収695.7万円。対し、中小企業(従業員10~99人)では月収31.1万円、年収481.4万円。同じ子育て世代ではありますが、勤務する企業の規模によって、年収では200万円以上もの給与差が生じています。このことからも、「男性の育児休暇」は大企業を中心とした話で、中小企業に勤務するサラリーマンは蚊帳の外だといえます。

 

前出の調査のほか、厚生労働省では「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査」(速報値)の結果を公表しています。それによると、男性育休等取得率は46.2%、男性の育休等平均取得日数は46.5日でした。しかしこの調査の対象は、従業員1,000人超の企業。やはり男性の育休を語る際は「大企業勤務のサラリーマン」が前提です。

 

育児・介護休業法が改正され、2022年4月1日から段階的に施行。それにより男性は、子どもの誕生直後8週間以内に最大4週間の出生時育児休業が取得できるようになりました。しかし実際に育休を取れるかは、給与面はもちろん、会社側の都合も大きいのが現実。

 

日本商工会議所が2022年に中小企業に対して行った調査では「人手が不足している」と回答した企業が6割を超えました。「君の代わりがどこにいるんだ! 休まれては困るよ!」と面と向かって言われることもあれば、そんな雰囲気を敏感に察することもあるでしょう。中小企業の新米パパ、とても「育休を取りたいです」などいえません。

 

日本のサラリーマンの7割は中小企業勤務ですが、男性の育休については対象外という現状。遠い国の話だと感じても仕方がないことです。そんな彼ら、「給与アップ」を実現することが最優先だといえるでしょう。