趣味やレジャーに妥協せず、夫婦で「ゆとりある老後」を過ごすには、月38万円ほどのお金が必要になるとの調査結果があります。この金額を公的年金「だけ」で賄うには、現役時代にどれだけのハードルを超える必要があるのでしょうか。詳しくみていきます。
年金だけで“悠々自適のセカンドライフ”は実現可能か?…夫婦で「年金・月38万円」受け取るための〈高すぎるハードル〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

旅行やレジャー、趣味への出費…ゆとりある老後に必要な金額は月38万円

公益財団法人生命保険文化センター『2022(令和4)年度生活保障に関する調査』によると、夫婦2人が最低限の老後生活を送るために必要な金額は23万2,000円。また「経済的にゆとりのある生活」を送るための費用として、最低日常生活費に上乗せして必要になると考えられている金額の平均は14万8,000円とされています。

 

つまり、ゆとりある老後を過ごすためには夫婦で月38万円程度のお金が必要になると考えてよさそうです。

 

老後のゆとりのための上乗せ額の使途

「旅行やレジャー」:60.0%
「日常生活費の充実」:48.6%
「趣味や教養」:48.3%
「身内とのつきあい」:46.2%
「耐久消費財の買い替え」:31.7%
「子どもや孫への資金援助」:19.4%
「隣人や友人とのつきあい」:12.5%
「とりあえず貯蓄」:3.9%
「その他」:0.3%

出所:「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」より

 

老後の収入の軸になる公的年金について、「公的年金だけで老後の生活費を賄えると思う」と考えている人は23.2%。一方、73.9%の人が「公的年金で老後の生活費を賄えるとは思わない」と考えています。

 

65歳以降の年金受取額について、厚生労働省『令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』をみてみると、自営業など国民年金の平均受取額は月額5万6,479円、厚生年金(第1号)の受取額は月額14万5,665円でした。厚生年金の受給額を性別ごとにみてみると、男性は16万9,006円、女性は10万9,261円。65歳以降の月あたりの平均収入は、会社員世帯の場合、夫婦共働きなら約28万円、会社員の夫+専業主婦の妻という世帯なら約23万円となります。

 

また総務省『家計調査 家計収支編』(2022年平均)によると、65歳以上の高齢者夫婦の消費支出は23万6,696円・非消費支出は3万1,812円であるのに対し、公的年金給付は22万418円ですから、その他収入を合わせても毎月2万2,271円の赤字が発生することになります。

 

あくまで平均値をみた限りは、多くの人の想定通り、年金だけで生活するのはハードルが高いのかもしれません。

 

【夫婦ともに65歳以上の無職世帯の1ヵ月の家計】

◆実収入:246,237円

そのうち公的年金:220,418円

◆実支出:268,508円
そのうち消費支出:236,696円

(内訳)
・食料:67,776円
・住居:15,578円
・光熱・水道:22,611円
・家具・家事用品:10,371円
・被服及び履物:5,003円
・保健医療:15,681円
・交通・通信:28,878円
・教育:3円
・教養娯楽:21,365円
・その他の消費支出:49,430円

出所:総務省『家計調査 家計収支編』(2022年平均)