大学卒業後、名の知れた大企業に就職し、部長の座に登り詰めた“勝ち組サラリーマン”。ピーク時の年収は1,300万円に迫り、「老後の不安」とは無縁にみえます。しかしいくら現役時代の収入が高いからといっても、老後の生活を楽観視しすぎていると、いざ老後生活に突入したときに「マズい」と慌てることになってしまうかもしれません。勝ち組サラリーマンの老後について、みていきましょう。
月収75万円の52歳・大企業部長、老後も“勝ち組”のはずが…引退から5年「マズいことになった」。元エリート〈まさかの年金額〉に大慌て (※写真はイメージです/PIXTA)

現役時代の年収がいくらでも50代から「質素な暮らし」へのシフトを

50代後半まで月収75万円超だった勝ち組サラリーマン。老後の年金生活についても「まぁ、なんとかなるだろう」という程度にしか捉えておらず、「ねんきん定期便」に一度も目を通したことがなかったとしたら、ピーク時の給与の3分の1にも満たない年金額に大きなショックを受けてしまうかもしれません。

 

この勝ち組部長に限らず、年金生活に入った後の収入がサラリーマン時代の3分の1程度になるというのは、ごく一般的です。しかし現役時代に高収入だった人ほど、老後の暮らしについて楽観視する傾向が強く、収入減に対応できないケースが多いのが事実です。

 

総務省の『家計調査』によれば、世帯年収1,200万円台の世帯の消費支出は月42万円ほど。年金生活が始まっても、同等の生活水準を保とうとすれば、毎月10~20万円の単位で貯蓄を取り崩していくことになります。受け取れる年金額を知ってから、「マズいことになった」と慌てて生活水準を落とすのは困難ですから、生活に余裕のある現役時代、50代のうちから徐々に質素な暮らしへとシフトしていく必要がありそうです。

 

そうした対応を怠れば、現役引退とともに家計は急激に苦しくなり、最悪の場合「老後破産」に至ることも。そんな事態に陥らないためにも、サラリーマン時代の収入の多寡にかかわらず、年に一度は「ねんきん定期便」に目を通し、老後の収入をシミュレーションしておくことが重要なのです。