人は、ついつい人と比べてしまうものですが、それは老後の生活を支える「公的年金」についても同じ。平均値と比べ一喜一憂する……高齢者が実際に受け取っている年金のリアルをみていきましょう。
平均月17万円だが…「どこの国の話ですか?」首をかしげる、元サラリーマンのリアルな年金事情 (※写真はイメージです/PIXTA)

世界と比べてしまうと見劣りする、日本の年金事情

「どこの国の話?」のついでに、他の国の年金事情をみていきましょう。

 

世界主要国の「年金見込額(税引前)」をみていくと、トップは「ルクセンブルク」。高齢者は現役時代の平均年収の16.20倍を手にしています。一方で日本は51ヵ国中44位で、現役時代の平均年収の6.20倍。先進7ヵ国だけに絞ると、トップは「イタリア」で11.70倍。「フランス」「イギリス」「ドイツ」「カナダ」「米国」と続き、日本は最下位です。

 

*年金の全支給期間の給付総額を現在価値に置きなおして一時金資産として換算したもの

 

【世界主要国の「年金見込額(税引前)」】

1位「ルクセンブルク」16.20倍

2位「ブラジル」15.10倍

3位「中国」15.00倍

4位「サウジアラビア」14.70倍

4位「スペイン」14.70倍

6位「アルゼンチン」14.30倍

6位「コロンビア」14.30倍

8位「キプロス」14.00倍

9位「オーストリア」13.70倍

10位「ギリシャ」13.40倍

 

出所:OECD(2020年) 資料:GLOBAL NOTE

 

厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』によると、サラリーマンの平均年収は554万円。「ルクセンブルク」の人たちの水準で年金がもらえるとしたら、生涯9,000万円弱の年金がもらえることに。仮に老後が20年あるとしたら、月37.5万円……少々夢物語でしょうか。

 

日本は世界的な長寿国であり、高齢化が加速度的に進んでいる国のひとつです。財政もひっ迫していますし、これ以上の年金アップは非現実的。ただ世界と比べてしまうと「もう少し、年金がもらえたらなあ……」と欲が出てしまうのは、仕方がないことかもしれません。