長い間、おつかれさまでした! と、会社員としてのフィナーレを飾る定年。そのときに手にする退職金は、まさに長年頑張ってきたあなたへのご褒美です。しかし定年退職金を手にした笑顔が一転、青ざめるケースも珍しくないとか。みていきましょう。
退職金3,000万円…定年時に知った事実に落胆!「定年・勝ち組サラリーマン」が手にする「本当の退職金額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

定年退職金にも税金がかかります!当たり前のことが抜け落ち真っ青の「勝ち組」だったが…

あくまでも平均値による単純計算ですが、大企業勤務の大卒サラリーマンで、さらに高給の業種であれば、平均でも3,000万円近い定年退職金を手にしていると考えられます。お金だけでは語れないとはいうものの、明らかに「勝ち組」のサラリーマンです。

 

そんな多額の退職金を手にする勝ち組サラリーマンでも、気をつけたいのが税金です。老後の資金を賄う、住宅ローンを払う、世界を旅する……退職金で色々な計画を立てている人も多いでしょう。しかし、特に定年時の退職金の場合、これまでの功労に対してもらえるもの、という意識が強いからでしょうか、退職金を受け取るタイミングになってから「えっ、定年時の退職金にも税金ってかかるの⁉」「まずい、いろいろと予定を立てていたのに……」と言葉を失うケースは、勝ち組であっても意外に多いといいます。

 

退職金にかかる税金は「所得税」「住民税」「復興特別所得税」の3つ。所得税は累進課税。所得税率は以下の通りです。

 

「1,000円~194万9,000円」5%(控除額:0円)

「195万円~329万9,000円」10%(控除額:9万7,500円)

「330万円~694万9,000円」20%(控除額:42万7,500円)

「695万円~899万9,000円」23%(控除額:63万6,000円)

「900万円~1,799万9,000円」33%(控除額:153万6,000円)

「1,800万円~3,999万9,000円」40%(控除額:279万6,000円)

「4,000万円~ 」45%(控除額:479万6,000円)

 

出所:国税庁『退職金と税』

 

退職所得にこの税率を乗じて所得税が算出されます。退職金の税金の計算では「退職所得 =(退職金∸退職所得控除額)×1/2」と優遇されています。退職所得控除額は、「勤続20年以下の場合、40万円×勤続年数(最低80万円)」「20年超の場合、800万円+ 70万円 ×(勤続年数∸20年)」(出所:国税庁『退職金と税』)。つまり勤続年数20年までなら800万円まで、30年なら1,500万円までは退職金に税金はかかりません。

 

住民税の税率は税率は一律10%。復興特別所得税は所得税の2.1%の税金がかかります。

 

では定年退職金3,000万円を手にする、勤続年数38年の勝ち組サラリーマンは、一体、いくら税金を払うのでしょうか。一時金として一括で受け取る場合で考えてみます。

 

まず所得税。退職所得控除額は「800万円+70万円×(38年∸20年)」は2,060万円。退職所得は「(3,000万円∸2,060万円)×1/2」で470万円。よって所得税は「470×20%-42万7,500円」で「51万2,500円」(①)です。

 

そして住民税は「470万円×10%」で「47万円」(②)。復興特別所得税は「51万2,500円×2.1%」で「1万0,762円」(③)。つまり①+②+③の「99万3,262円」の税金がかかるということになります。

 

ちなみに一般的に勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出するので、退職金は確定申告不要。ただし確定申告すれば、医療費控除や寄付金控除などの所得控除や税額控除を受けられる可能性もあります。事前に申告したほうが有利かどうか、試算をしてみるといいでしょう。