初期症状は自覚しづらい…「止まらない咳」に要注意
肺がんは、早期段階では自覚症状が出にくいという特徴があります。咳や息切れ、体重減少といった症状が現れたときには、すでに進行してしまっていることが多いです。
代表的な症状はなかなか治まらない咳で、痰などをともなわない乾いた咳であることが多いです。しかし、なかには咳と一緒に血が出たり、痰が増えたりする方もいます。発熱があることもありますが、高熱というよりも微熱が続くことが多いです。
これらは風邪の症状と似ているために、肺がんの発見が遅れる原因となっています。しかし放置していると、徐々に病状が進行します。食欲減退や体重の減少、息切れなどの症状がみられます。加えて、体が常に疲れやすくだるい感じが続き、なかには胸のあたりに痛みが出る人もいます。
さらに進行すると物が飲み込みづらくなったり、顔や首が腫れたりという症状が出てきます。ここまでの症状が出るようになると、肺がんがかなり進行している可能性が高いです。手術などの根治的な治療は望めず、抗がん剤による治療しか選択肢にないことがほとんどです。
ここまで進行させないためには、定期的な検診が重要になってきます。
医療の進歩で生存率上昇…早期発見・早期治療につなげるために
肺がんと診断されたあと、5年後に生存が確認できる割合を示す「5年生存率」は、1993~1996年に診断された方は22.5%であったのに対し、2009~2011年は34.9%にまで上昇しています。
さらに、従来の抗がん剤に加えて、近年では「分子標的薬」や「免疫療法」など革新的な治療が多く登場し、肺がん患者さんの生存率の向上がみられています。とはいえ、依然として死に直結する深刻な病気ではあることには変わりありません。
もっとも重要なのは、かかる前の「予防」です。特に、今回みてきたように喫煙は肺がんの最大のリスク因子ですから、「禁煙」は肺がんを予防するもっとも効果的な手段といえます。
また、健康診断などで胸部X線検査や胸部CT検査を行い、肺がんの早期発見・早期治療に繋げることも大切です。
私たち男性にとって、肺がんは避けて通れない問題です。しかし、そのリスクを理解し、適切な予防策を講じることで、リスクを大幅に下げることができます。皆さんも、ぜひ自身の健康について考え、行動に移してみてはいかがでしょうか。
山本 康博
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい
院長
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