マイホームを取得する人の大半が住宅ローンを利用しています。30年超に上ることもある返済期間中には、病気やケガ、あるいは勤め先の業績悪化による突然の「リストラ」など、収入が激減するリスクが潜んでいます。もしローンを滞納し、とくに対処しなかった場合「自己破産」という最悪の結末が待ち受けているかもしれません。詳しくみていきましょう。
30代会社員「住宅ローン月9万円が返せない」…迫りくる〈自己破産〉の危機にどう対処すべきか? (※写真はイメージです/PIXTA)

少しでも滞納の可能性がある場合は、早めに金融機関に相談を

数ヵ月経っても再就職の見込みが立たず、住宅ローンの返済が滞りそうになったら、マイホームの売却を検討せざるを得ません。

 

売却時、住宅ローン残債よりも物件の資産価値が高い「アンダーローン」の状態であれば、問題なく自宅を売って当面の生活費を確保できるでしょう。一方で、問題なのは物件の売却価格が住宅ローンの残債よりも小さい「オーバーローン」に陥っていたとき。

 

マイホームを売却してもローンが残ってしまうため、差額分の現金を自身で用意しなければなりません。そもそも「オーバーローン」の状態では、金融機関が売却を認めないケースが多く、そうなるといよいよ行き詰まってしまいます。

 

また、すでに住宅ローンの返済を滞納してしまっている場合は、債権者である金融機関の了承を得た上で「任意売却」を行うことになります。「任意売却」をしてもローンが残ることはありますが、売却前よりも毎月の返済負担は軽くなるため、再就職するなどして生活を立て直すまでの出費を減らすことができます。

 

もっともマズいのは、ローンの滞納が続いていながら何の対処もしなかったケースです。その場合、金融機関が抵当権者である自宅は、相場の7割程度の安値で競売にかけられることになります。競売での売却金額をローンの返済に充てる訳ですが、それでも残債がある場合は一括返済を求められることになります。

 

一括返済ができないとなると、残された選択肢はいよいよ「自己破産」。

 

自己破産をすれば、住宅ローンの残債は免責になるものの、個人の信用情報に大きな傷がつくことになり、クレジットカードやローンも利用不可に。自宅が競売にかけられる際は、官報等でも物件情報が公開されるため、「住宅ローンを滞納した」という事実は周囲に知れ渡ってしまいます。

 

ローンを滞納すると送られてくる督促状を無視→自宅が競売に→残債の一括返済ができずに自己破産……こうなると、あまりにも多くのものを失うことになるため、住宅ローンを滞納してしまう可能性があるときは、少しでも早く金融機関に相談を持ちかけて返済猶予や任意売却を打診することが大切です。

 

また、今回みた「リストラ」に遭うリスクは会社員であれば誰もが抱えています。これから住宅ローンを利用する人は、たとえ急に職を失ったとしても、次の仕事をみつけて生活を立て直すまでの期間、滞りなくローンを返済していけるよう、少なくとも月収の半年~1年分の自己資金を用意しておくと安心といえるかもしれません。