急激な物価上昇で再び「家賃滞納」が増加か?
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会『日管協短観』によると、2021年度、「2ヵ月以上滞納率」は全国平均で0.4%。首都圏で0.3%、関西圏は0.8%でした。全国平均が1.0%(首都圏:0.9%、関西圏:1.4%)だった2019年上期(2019年4~9月)に比べて数値は改善していますが、これは21年度にはコロナ関連の給付金等の支援があり、家賃滞納が減ったため。
直近では急激な物価上昇による生活苦などもあり、再び滞納率が高まるのではないかとの懸念が広がっています。
国土交通省『令和4年度住宅市場動向調査』によれば、首都圏の平均家賃は8万4,214円。共益費等も合わせて住居費は月9万円強というのが、首都圏の賃貸暮らしの平均像といえそうです。同調査で家賃の負担感を聞いたところ、9.4%、実に10世帯に1世帯が「非常に負担感がある」と回答。「少し負担感がある」と回答したのは44.4%で、2つを合わせると半数以上の世帯が家賃の支払いに苦しんでいることになります。
日本の民間賃貸世帯数は1,300万世帯とされていますので、今後仮に家賃滞納率が19年度の水準に戻ったとすると、滞納世帯数は13万世帯に上ることに。実際、SNSで「家賃」と検索してみると、いくつもの悲痛な叫びが目に留まります。
――給料日まで食費「ゼロ」にしないと家賃が払えない。非常にまずい
――更新で家賃値上がり。給料は増えないのにキツイ
20~30代の若者であれば、家賃の支払いが苦しいなら実家に帰るという選択肢もあるでしょう。厳しい状況に追い込まれているのは、帰る「実家」のない高齢者です。
そんな高齢者の生活を支えるのは公的年金ですが、東京23区で12~13万円とされる最低生活費を賄えるだけの年金(税金・保険料等が差し引かれることを考慮して14万円程度)を受け取っている高齢者は、どれくらいいるのでしょうか。
厚生労働省の調査によると、その数は半数程度。数値を詳しくみてみると、厚生年金受給者のうち48%が年金14万円未満(国民年金+厚生年金)とされています。月あたりの受給金額としてもっともボリュームが大きいのは「10~11万円」で113万5,983人。次いで「9~10万円」で113万5,527人となっています。さらに、「0~1万円」という人も9万9,642人に上ります。