右肩上がりで増加する「老人ホーム」…高齢者向け住まいの有力な選択肢に
介護サービスの必要度を判断する要介護認定。その判断は客観的かつ公平に行うために、「1分間タイムスタディ・データ*」を用いたコンピュータによる一次判定と、それを原案として保健医療福祉の学識経験者が行う二次判定の二段階で行います。
*介護老人福祉施設や介護療養型医療施設等の施設に入所・入院している3,500人の高齢者について、48時間にどのような介護サービスがどれ位の時間に渡り行われたかを調べたもので、以下7分類に区分される。また実際に家庭で行われる介護時間とは異なる。あくまでも介護の必要性を量るであり、直接、訪問介護・訪問看護等の在宅で受けられる介護サービスの合計時間と連動するわけではない
要支援1:要介護認定等基準時間が25分以上32分未満、またはこれに相当すると認められる状態
要支援2、要介護1:要介護認定等基準時間が32分以上50分未満、またはこれに相当すると認められる状態
要介護2:要介護認定等基準時間が50分以上70分未満、またはれに相当すると認められる状態
要介護3:要介護認定等基準時間が50分以上70分未満、またはこれに相当すると認められる状態
要介護4:介護認定等基準時間が90分以上110分未満、またはこれに相当すると認められる状態
要介護5:要介護認定等基準時間が110分以上、またはこれに相当すると認められる状態
65歳以上全体(第一号被保険者)の要介護認定率は18.6%なのが、75歳以上では32.1%、85歳以上では60.6%と、認定率は年齢が上がるにつ入れて上昇します。
また高齢者においては単身者の増加が顕著で、2020年「高齢夫婦のみの世帯」は674.0万世帯、「高齢の単独世帯 」は702.5万世帯だったのが、2030年にはそれぞれ669.3万世帯、795.9万世帯、2040年には687.0万世帯、 896.3万世帯となると予想されています。
そのなかで、問題となるのが介護。1人暮らしの高齢者の希望する介護場所についてみていくと、なんらかの支援が必要な場合では「自宅」が66.6%に対し、「高齢者向きのケア付き住宅」が9.5%。一方、介護度が上がり、日常生活において全介助が必要になる場合では「自宅」は15.5%に対し、「高齢者向きのケア付き住宅」は18.4%と、両者は逆転します(内閣府『1人暮らし高齢者の意識に関する調査』より)。
今後、確実に増えていく介護ニーズに対し、有料老人ホームの数は右肩上がり。平成の最初のころ、全国で155施設、入居者は1万5,000人程度だったのが、令和の最初のころには、全国1万4,000施設以上、入居者は54万人ほどと、この30年で急増しています。
ほかにも高齢者向け住まいはさまざまな種類があり、認知症高齢者グループホームは全国に1万3,000施設(利用者20万人)、介護老人福祉施設は全国に1万施設(利用者62万人)、サービス付き高齢者向け住宅は全国7,000施設(利用者25万人)などと、いまや「老人ホーム」は特別なものではなく、老後の住まいの有力な選択肢となっています。