60歳で定年を迎えたのち、再雇用で会社員を継続。年金受給の始まる65歳に会社員を引退し、夫婦の第二の人生が始まる……しかしすべての夫婦が上手くスタートを切れるとは限りません。みていきましょう。
月収37万円・43歳夫が突然死〈生活保護費以下の遺族年金額〉に唖然…40歳・専業主婦の妻「働きに出るしかないか」 (※写真はイメージです/PIXTA)

遺族に支払われる「遺族年金」だけでは生活できないのか?

43歳の夫と、40歳の妻、そして小学生の子ども。そんな幸せな家族に襲う、夫の死。母子世帯となってしまった妻たちは、この先の生活を考えてでしょう、仕事を辞めて専業主婦になっていた場合でも、その6割は再び働きに出ています。

 

通常、公的年金の被保険者が亡くなった場合、残された遺族に遺族年金が支払われます。それだけで専業主婦のままでいるのは難しいのでしょうか。

 

まず受け取ることができるのは「遺族基礎年金」。亡くなった方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受給対象で、妻は子が18歳になった年度の3月31日まで受け取ることができます。その金額は「79万5,000円+子の加算額」。子どもの加算額は、1人目と2人目の子は各22万8,700円、3人目以降は、各76,200円。上記であれば年間102万3,700円。1ヵ月あたり8万5,000円ほどです。

 

*障害年金の障害等級1級または2級の状態にあれば、20歳未満まで。また子どもは婚姻していない場合に限る。被保険者が死亡したとき、胎児であった子も出生以降は対象となる

 

そして、次に手にできるのが遺族厚生年金。配偶者や子などが受給対象者で、その年金額は死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。ただし、報酬比例部分の計算において、厚生年金の被保険者期間が300ヵ月未満の場合は、300月とみなして計算します。

 

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』において、40代前半・正社員男性の平均給与は月収で37万円、年収で616万円。仮に20~43歳まで平均的な給与を得てきた仮定すると、月4.2万円ほどの遺族厚生年金がもらえる計算です。つまり、これら2つを合算すると、月13万円弱の遺族年金がもらえることになります。ちなみに遺族年金は課税対象外です。

 

月13万円。遺族年金が残された家族の生活を保障するものなどと考えていたら、「たったこれだけ……」と唖然とする金額かもしれません。東京都23区、小学生の子と40代の母の生活保護費は19万6,160円(住宅扶助基準額、児童養育加算含む)ですから、最低限の生活を考えても、母子が遺族年金だけで生活していくのは無理があります。

 

ほかにも貯蓄があったり、生命保険があったりするでしょうが、子どもの将来や自身のこの先を考えると、これらを取り崩して生活するのは避けたいところ。「働くしか、ないわね」と意を決して就職活動を始めるしかありません。