フリーランスとして働く52歳の伊藤一郎さん(仮名)。老後に備え、毎月10万円の積立投資を始めました。資産は順調に推移していましたが、“コロナショック”による相場の大変動に慌て、大きな損失を出す結果に…。「後悔の念が絶えません」と振り返る伊藤さん、どうすればこの失敗を避けられたのでしょうか。本稿では、テクニカル分析の解説サイト『テクニカルブック』を運営する株式会社アドバンの代表取締役・田中勇輝氏が、積立投資を行う際に押さえておきたいポイントについて解説します。
あのとき、もう少し我慢していれば…52歳・Web系フリーランス男性、“安全”がウリの〈積立投資〉で大失敗&大後悔のワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

積立投資で押さえておきたい6つのコツ

今回は安全なはずの積立投資で失敗した伊藤さんのエピソードを通じ、積立投資の特徴について解説してきました。最後に、積立投資で資産運用する上での6つのコツを紹介します。

 

【相場の下落局面で安易に中断/解約しない】
積立投資は相場の下落局面でも継続的に買い続けることで、平均購入単価を下げられるのが大きなメリットです。相場が下落しているからといって安易に積立投資を中断・解約すると、この効果が失われるので注意しましょう。
【無理のない積立金額にする】
積立投資では、相場の変動を細かく追いかける必要がないため、精神的負担が小さいといえます。ただ、月々の積立金額を大きくしすぎれば、投資の損益状況が気になってしまい、冷静な判断ができなくなるかもしれません。積立投資も、身の丈に合った金額で行うことが大切です。
【投資先を分散する】
安定した運用が可能な積立投資ですが、投資対象が長期間にわたって下がり続ければ失敗してしまいます。このリスクは、特定の資産に集中投資するのではなく、幅広い資産に分散投資すれば抑えられます。積立投資の投資先は、分散投資を意識して決めるようにしてください。
【定期的なリバランスをする】
積立投資は一定の条件に従って自動的に購入を続けるので、基本的に自身で売買する必要はありません。とはいえ、長期間放置しすぎると、どうしてもポートフォリオに偏りが出てくるため、想定したリスク分散が実現できなくなることがあります。1年に1回など、定期的にポートフォリオのバランスを見直すことをおすすめします。
【出口戦略も考えておく】
積立投資では、投資対象を購入するタイミングを細かく考える必要はありません。しかし、売却については自分で決める必要があり、売却方法やタイミングによっては利益が大きく減少してしまうこともあります。築いてきた資産をどのように現金化していくのか、出口戦略についてもあらかじめ考えておくことが大切です。
【テクニカル分析を活用する】
テクニカル分析を活用すると、長期的な相場の流れや水準感を把握することができるようになります。購入タイミングで悩むことのない積立投資ですが、運用方針の修正や出口戦略の決定において、テクニカル分析は非常に有用です。細かい分析手法を学ぶ必要はありませんが、チャートの見方の基本はしっかり身に付けておくのが望ましいでしょう。

 

これから積立投資をしようと考えている人、積立投資を現在行っている人は、上記の6点を意識してみましょう。長期的な目線で上手に積立投資を行えば、安定した資産形成の実現可能性が高まります。