NISA対象商品からも外されたが…「毎月分配型投資信託」は本当にダメな金融商品なのか?
毎月分配型投資信託とは1ヵ月ごとの決算により分配金が毎月支払われる投資信託のことですが、評判があまりよくありません。その最大の理由は毎月の分配金支払いにより投資効率が悪くなることです。よって、来年から始まる新NISA制度積み立て枠においても「長期の資産形成にそぐわない」として、制度対象商品から除外されました。
しかし毎月分配型投資信託は本当によいところがないダメ金融商品なのでしょうか? 投資はいかなる人生のステージにおいても運用効率が最優先されるべきものなのでしょうか? 本記事でご紹介するお話の主人公は、70歳となり完全リタイアして、これからは年金収入だけで老後生活を送ることになった男性の関根さん(仮名)です。
2,000万円貯めて70歳で完全リタイアしたが…
60歳で定年退職後、10年間は退職先の会社で嘱託として働いてきた関根さんですが、最近は疲れを感じやすくなり70歳の誕生日を契機に完全リタイアすることにしました。
関根さんが70歳で嘱託を辞めたもう1つの理由は、数年前に「老後2,000万円問題」として騒がれた金額を貯金できたことです。持ち家で、年金も夫婦で月20万円程度はあるので、貯金は予備費として手を付けないで生活していくつもりでした。
貯金残高が毎月少しづつ減って不安…資産運用として「毎月分配型投資信託」を検討
しかし完全リタイアしてから半年ほど経って過去6ヵ月間の収支を計算してみると、毎月平均5万円程度赤字となっていました。せっかく貯めた2,000万円を無意識のうちに取り崩し始めていることに気がつき、関根さんは不安になってきました。
そこで以前から気になっていた「毎月分配型」という投資信託に興味を持ったのですが、投資に詳しいと自負する友人に相談してみたところ、徹底的にダメ出しされてしまいました。いわく、毎月分配型投資信託には複利効果がない、コストが高い、払い出しの度に税金が取られる、税金を取られない分配金は元本払戻しのたこ足食いであると。
その友人は胸を張って関根さんに「投資の王道はNISAのような非課税枠を利用して長期分散積立投資を行うことであり、そこで買うべき商品は手数料の少ないインデックス型一択である」と力説しました。
それでも未だ「毎月分配」という魅力的な響きを諦めきれない関根さんは、独立FPにも話を聞いてみることにしました。そこでも否定されるのであれば、完全にあきらめがつくと考えたのです。