持ち家志向の強い、日本人。年齢が上がるにつれ持ち家率は高くなり、高齢者ともなると8割を超えます。残り2割の少数派、高齢者の賃貸暮らしについてみていきます。
東京・港区「四畳一間」月6万円〈激狭マンション〉に40年…「年金月15万円」70代男性、たったひとつの憂鬱 (※写真はイメージです/PIXTA)

築50年を経過したマンションから立ち退き要求…70代の住まい探しは難航

男性の住むマンションは築50年以上が経過し、建て替えの話が出ているのだとか。

 

東京都心では、1964年の東京五輪を前に多くのビル、マンションが建てられましたが、それらが一気に更新のタイミングを迎えています。その過程で細かく区切られた区画を統合し、大規模な高層ビルを建てるような再開発計画も、あちらこちらで計画、実施されています。男性のマンションも再開発が予定されている区画に建ち、大家から立ち退きの話もチラホラと出ているのだとか。

 

高齢者が新たに賃貸契約を結ぶことのハードルが高いことは、よく知られたこと。

 

高齢者の部屋探しを専門で支援する株式会社R65の調査によると、「65歳を超えて賃貸住宅のお部屋探し経験のある高齢者」は35.7%。最も多い住み替え理由は「家賃の低い物件に住み替えるため」で36.6%。男性のように「オーナーや不動産会社から立ち退きを促されたため」は7.6%です。

 

また高齢者の26.8%が「年齢を理由とした賃貸住宅への入居拒否」を経験し、そのうち「5回以上断られた」というのは11.9%。しかも収入によって大きな差は認められず、純粋に「高齢者だからお断り」というケースが多いことが分かります。

 

高齢者の賃貸契約を難しくする理由としては、入居前は「何かあったときに対応してもらう連帯保証人が不在」というケースが多いこと、入居中には「入居者が認知症等になったときの対応」が難しいということ、退去時においては「孤独死が起きた場合」のさまざまなリスクがあること。これらを加味して、「高齢者に部屋を貸すにはリスクが高い」と判断され、入居を拒否されます。

 

70代にして、住宅難民の危機にさらされている男性。近隣に高齢者もOKな賃貸はいまのところ見つかってなく前途多難。公団も考えましたが、結構な倍率。いっそのこと高齢者施設に……まだ結論は出ないといいます。