持ち家志向の強い、日本人。年齢が上がるにつれ持ち家率は高くなり、高齢者ともなると8割を超えます。残り2割の少数派、高齢者の賃貸暮らしについてみていきます。
東京・港区「四畳一間」月6万円〈激狭マンション〉に40年…「年金月15万円」70代男性、たったひとつの憂鬱 (※写真はイメージです/PIXTA)

東京都心に住む高齢者の実態

東京都によると、2023年1月1日現在、総人口は13,841,665人。そのうち65歳以上の高齢者は3,137,857人で、総人口に占める高齢者の割合は22.67%でした。

 

高齢者の地域分布をみてみると、都心3区では高齢者率17.5%未満。3区に隣接する新宿区、渋谷区、豊島区などの5区は20%未満、都心3区の東部で隣接する3区と、多摩地区東部は22.5%未満。特別区でも、北部に位置する5区と大田区は25%未満と高齢化率は高め。また多摩地区西部及び島嶼部の多くは25%以上と、東京都でも高齢化が進んでいる地域です(図表)。

 

出所:東京都報道発表『住民基本台帳による東京都の世帯と人口」(町丁別・年齢別)の概要令和5年1月1日現在』
出所:東京都報道発表『住民基本台帳による東京都の世帯と人口」(町丁別・年齢別)の概要令和5年1月1日現在』

 

アクセスのよい都心のほうが現役世代は好むという性格上、このような分布になるのは当然のこと。また年齢が高くなるほど持ち家志向が強くなり、高齢者では8割を超えるといわれています。住宅の購入を考えると都心に近いほど価格は高く、購入可能地域を探していくと、必然的に郊外となる……そんな事情もあるのでしょう。

 

一方で残り1~2割の賃貸派であったり、またはファミリーではなく、独身であれば、何かと便利な都心のほうが快適ということもあるようです。

 

――四畳一間、年金暮らし

 

「どこにお住まいですか?」の問いに、どこか誇らしげに答える70代男性。住まいは東京都港区、ビルとビルの狭間に忘れられたように建つ、築古マンションの一室。布団が敷きっぱなしの部屋はそれだけでいっぱいで足の踏み場もありません。食事をするのも、テレビを観るのも、敷きっぱなしの布団の上だといいます。

 

家賃は月6万円。それに対し、年金は月15万円ほど。独り身で贅沢をするわけでもないので、不自由なく暮らしていけるといいます。

 

――ここに住んで30年か40年か……もう他にはいけないよ

 

友人に郊外の広い部屋を勧められたこともあったといいますが、独身を貫いてきた男性にとって都心のほうが何か便利なのだとか。1人生きていくには十分な蓄えはあると男性。将来への心配もなく、悠々自適かと思えば、ひとつ、心配があるといいます。それは結構な一大事。