長寿化が進むなか、介護を必要とする人が増えています。一方で、介護をする人も増えているといえるでしょう。現役世代なら仕事と介護の両立は大きな課題であり、子どもから施設への入所を勧めるケースもあるでしょう。しかし、後に大きな後悔に変わることも多いようです。みていきましょう。
悔やんでいます…年金14万円・80代の高齢の母に「老人ホーム入居」を勧めた50代娘の無念 (※写真はイメージです/PIXTA)

全国に700万人の要介護者…「親を介護する子」は145万人

80歳を超えると3割、85歳を超えると6割が要介護(支援)認定を受けるとされています。平均寿命が伸びるなか、誰もが自身や家族の介護について、考えなければいけない時代だといえるでしょう。

 

現在、要介護(支援)の認定を受けている人はおよそ700万人。そのうち85%は在宅で、残りが施設に入所していると推測されています。

 

在宅介護者の状況をみていくと、「単身世帯」が30.7%、「夫婦のみの世帯」が25.0%、「夫婦と未婚の子の世帯」17.1%、「三世代世帯」が10.9%。数をそのままあてはめると、「要介護ながら一人暮らし」が210万人、「夫婦のみ」が180万人、「夫婦と未婚の子」が120万人、「三世代世帯」が80万人となります。

 

介護が必要になった理由として最も多いのが「認知症」で16.6%。次に多いのが脳卒中などの「脳血管疾患」で16.1%、「骨折・転倒」が13.9%と続きます。

 

このような要介護者を、誰が介護しているのかというと、「同居している家族」が45.9%。さらにその内訳をみていくと、「配偶者」が最も多く全体の22.9%。続いて「子」が16.2%、「子の配偶者」が5.4%。「別居している家族」は11.8%で、「事業者」は15.7%でした。要介護者と同数の介護者がいると仮定すると、「介護する妻(夫)」は全国で160万人、「親を介護する子」は145万人、「義親を介護する子」は40万人、「別居する家族を介護する家族」は80万人いると考えられます。

 

介護者について男女別にみていくと、同居する主な介護者に限ると、男性が31.1%、女性が68.9%。別居する家族に限ると男性が26.0%、女性が71.1%。男女の平均寿命を考えると、女性のほうが6年ほど長いこともあり、女性のほうが介護負担が大きい実情がみえてきます。

 

また要介護度別に「同居の主な介護者の介護時間」をみていくと、介護度が上がるほど介護にかける時間は多くなり、「ほとんど終日介護に時間を使っている」という人は、「要介護1」で11.8%、「要介護2」で17.0%、「要介護3」で31.9%、「要介護4」で41.2%。「要介護5」にもなると63.1%となり、介護負担の大きさを物語っています。