私大の雄に数えられる慶應義塾大学と早稲田大学。それらの大学に関連する学校であれば難関私大にエスカレーターでいけるという魅力から、中学・高校受験においても人気校のひとつに数えられます。しかし勘違いしている親子も多いと関係者。みていきましょう。
〈早稲田大学〉を目指した中学受験組の親子「内部進学」の落とし穴に仰天 (※写真はイメージです/PIXTA)

中学受験に挑む親子…「慶應義塾大学」を見据えるなら

東京都教育委員会『令和4年度公立学校統計調査報告書』によると、小学校を卒業した児童のうち、私立中学校に進学したのは全体の19.73%。5人に1人は中学受験を経て、私立中学校へ進学しています。実際に受験に挑戦した子も含めれば、東京ではいまや「中学受験は当たり前」といった状況です。

 

とはいえ、「東京」といっても地域によって事情はさまざま。23区で最も私立中学進学率が高いのは「文京区」で、その進学率は49.44%。2人に1人は私立中学に進学しています。一方で最も私立中学進学率が低いのは「江戸川区」で10.27%。10人に1人と、全国のほかの地域から比べたら十分に高い数値ではありますが、23区内でみると、大きな差が生じています(関連記事:『東京都23区「中学受験進学率」ランキング《2021年》』)。

 

進学率の差は、通学のしやすさといったロケーションのほか、やはり親の年収。進学率上位の地域は、地域の平均年収も高く、23区で最も平均年収の高い「港区」は、私立中学進学率は第2位の44.69%。学費等が圧倒的に「私立>公立」という構図である以上、お金がないとどうにもならない、という事情があります(関連記事『最新「東京23区平均年収ランキング」…2021年度データで算出』)。

 

とはいえ、学歴と将来の年収が密接に関わっていることは周知の事実。そのことを痛いほど分かっている親世代であれば、少し無理してでも、難関大学へエスカレータでいける学校に合格させたいと躍起になるのも頷けます。

 

私大の雄の一角、慶應義塾大学への進学を考えるなら、中学校は

 

「慶應義塾普通部」

「慶應義塾中等部」

「慶應義塾湘南藤沢高等部」

 

の3校があり、高校は

 

「慶應義塾高等学校」

「慶應義塾志木高等学校」

「慶應義塾女子高等学校」

「慶應義塾湘南藤沢高等学校」

「慶應義塾ニューヨーク学院」

 

の5校があります。「慶應義塾中等部」から「慶應義塾湘南藤沢中等部」への進学は不可だったり、「慶應義塾湘南藤沢中等部」からは基本的に「慶應義塾湘南藤沢高等学校」への進学だったりと、中学校から高校への進路に一定の道筋はあるものの、高校から大学への内部進学はほぼ100%約束されています。

 

もちろん内部進学とはいえ、希望の学部に進学するためには成績が重視されるなど、楽に希望が叶うわけではありませんし、「絶対に内部進学できる」わけでもありません。入学後も学業に励まなければならないのは、ほかの大学付属中学・高校と同様です。