毎年10月に改訂される「最低賃金」。昨今の物価高などを受けて、過去最高の大幅アップとなりました。世界と比べると「最低賃金は、まだ上げることができる!」と声高らかに主張する専門家もいますが……みていきましょう。
都道府県「最低賃金」最新ランキング…「1位・東京」と「47位・岩手」、格差は〈1時間220円〉 (写真はイメージです/PIXTA)

最低賃金、43円アップで〈全国平均1,004円〉へ

最低賃金の大幅引き上げで歓喜の声が聞こえる今日この頃。各地方最低賃金審議会の答申した結果を、厚生労働省がまとめたところによると、47の都道府県で39~47円の引上げとなり、改定額の全国加重平均額は昨年より43円アップの1,004円となりました。全国加重平均額43円の引上げは、1978年度に目安制度が始まって以来、最高額です。

 

都道府県の中で最も引き上げ幅が大きかったのは、「島根県」「佐賀県」の47円。続いて「山形県」「鳥取県」の46円、「青森県」「長崎県」「大分県」「熊本県」の45円と続きます(関連記事:『【最新】都道府県「最低賃金」ランキング〈2023年〉』)。

 

また見直し後の最低賃金をみていくと、最も高いのは「東京都」で1,113円。一方で最も低いのは「岩手県」で893円。最高額1,113円に対する最低額893円で差は220円で、比率は80.2%。9年連続で格差是正となりました。

 

【都道府県「最低賃金」トップ10】

1位「東京都」1,113円

2位「神奈川県」1,112円

3位「大阪府」1,064円

4位「埼玉県」1,028円

5位「愛知県」1,027円

6位「千葉県」1,026円

7位「京都府」1,008円

8位「兵庫県」1,001円

9位「静岡県」984円

10位「三重県」973円

 

そもそも最低賃金は、雇用主が労働者に支払わなければならない賃金の最低額を定める制度として、毎年10月に改定されています。。アルバイト・パート・派遣・日雇い・契約社員・正社員など、雇用形態の区別なくすべての労働者が対象です。

 

各都道府県ごとに決められた「地域別最低賃金」と、それよりも高い水準で最低賃金を定めるべきだとされた特定の産業に設定されている「特定(産業別)最低賃金」があります。最低賃金の対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金で、ボーナスや残業代、通勤手当など、以下は対象外です。

 

●臨時に支払われる賃金(結婚手当など)

●1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

●所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)

●所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)

●午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)

●精皆勤手当、通勤手当及び家族手当