2025年、いわゆる団塊の世代が全員75歳以上となり、日本の高齢者問題はさらに深刻化するといわれています。たとえば「介護難民」。これは介護サービスを利用したい、介護施設に入りたい、と希望しても待機状態にある人たち。この数が、今後ますます増えていくといわれています。そんな問題に巻き込まれないためにも「介護資金を確保しておくこと」が重要ですが、夫を亡くした妻の懐事情は厳しいようで……みていきましょう。
夫婦合わせて23万円だが…80代の妻が絶句する、夫亡き後の「年金額」 (写真はイメージです/PIXTA)

施設に入りたくても入れません…深刻化する「介護難民問題」

年を重ねれば、誰もが疾病リスク、そして介護リスクが高まります。厚生労働省や総務省の資料から試算すると、年代別の人口に占める要介護認定者の割合は、80〜84歳では25.8%と4人に1人、85歳以上では59.8%と2人に1人以上となります。

 

要介護となり、自宅での生活に不安を覚えるようになったら、施設への入居も有力な選択肢になるでしょう。しかし高齢化が加速するなか、希望すれば誰もが介護施設に入ることができるかといえば、少々認識が甘いようです。

 

少々古い話になりますが、2015年に日本創成会議(現在休止中)が発表したところによると、団塊の世代が75歳以上になる2025年、介護サービスが誰からも受けられない「介護難民」は都心で約13万人ほどになる予測しました。

 

2025年まであと少しですが、想定以上の介護難民が発生するといわれています。実際に介護難民に焦点を当てた調査は乏しいですが、厚生労働省による「特別養護老人ホームの入所待機者」に限ると、2022年時点で27.5万人以上。できれば一刻も早く施設に入居したいものの、ただ待つことしかできない……そんな状態の人は今後、ますます増えていくことが確実視されています。

 

介護難民にならないために……なんといっても「介護資金」を確保しておくことが重要。介護施設といってもその入居費用はピンキリ。予算の幅が広ければ、それだけ検討できる施設のバリエーションは増えます。

 

たとえばサービス付き高齢者向け住宅。厚生労働省の資料によると、4,000件以上の施設の平均利用額は月17.3万円。利用額の分布をみていくと、月14万円未満の施設が全体の50.7%。「月14万円」払うことができれば、半数のサ高住が検討できます。月20万円未満となると全体の77%。約8割の施設への入居を検討できることになります。