「この銘柄の適正株価はいくら」と、メディアが報じる「理論株価」を参考に株式投資をしている人は多いのではないでしょうか。しかし結論からいうと、それをあまり当てにしてはいけません。では、それをどう捉え、どう扱えばよいのでしょうか。本稿では、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏が、理論株価の捉え方について解説します。
算出の根拠は“曖昧”、しかも複数存在する〈理論株価〉…株式投資家はどこまで参考にすべきか【投資のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

理論株価は複数存在する

理論株価を算出する理由は、「現在の株価は間違いである」という考えにあります。では、「正しい株価」とはいくらなのでしょうか。それこそが理論株価であり、調べてみるといろいろな算出方法を見つけることができます。

 

「PBR1倍になるのが正しい、いつかは1になる」という話もあります。また、「営業利益の10倍が適正な時価総額だ」という話もあります(時価総額を発行済み株式総数で割る)。

 

計算方法が明らかにされていないまま理論株価が公表されている場合もあれば、独自の計算方法で理論株価を算出しているケースもあります。

 

「その会社が毎年どれほどのキャッシュを生み出せるか」という観点に加え、安定性や成長性に応じて設定する「割引率」を用いて会社の価値を算出するDCF法も理論株価を導き出す方法の1つでしょう。

 

実は、理論株価は複数存在するのです。

理論株価まで株価が上がるとは限らない理由とは

しかし、理論株価まで株価が上がるとは言い切れません。

 

その理由は2つ。1つは「理論株価というのがそもそも曖昧なものだから」であり、もう1つは「株価はみんなが買うことで上がるから」です。

 

PBRや営業利益、割引率やDFC法などを用いた理論株価算出法について紹介しましたが、これを聞いて心の中で次のようなツッコミを入れた人もいるのではないでしょうか。

 

「PBRがずっと1未満の会社もたくさんあるし、いつかは1になるとして、10年後にそうなっても遅すぎるでしょ?」
「なぜ営業利益の10倍なの?毎年営業利益なんて変わるけど、どの年の営業利益を使って計算すればいいの?」
「その理論株価の計算に根拠はあるの?本当に株価がそこまで上がるの?」
「その会社がいくらのキャッシュを生み出せるかとか割引率なんて、任意で当てはめる値でしょ?」

 

こうしたツッコミは正しく、理論株価というのは曖昧であるということを念頭に置いておくことが重要です。株価というのは、みんなが買うことで初めて実際に上がるものですから、

 

ですから、仮に「正しい理論株価」があったとしても、みんながそう思って買わない限り、株価はそこまで上がりません。しかし前述のとおり、理論株価は複数存在し、誰もが認める適正な株価などないのですから、みんながその価格になるまで株を買い続けるかどうかは、わからないということです。