正規、非正規の給与格差
2022年の神奈川県の最低賃金額は1,071円です。1日8時間働いた金額は8,576円、1ヵ月22日間働いた場合、18万8,672円。社会保険料等を控除した手取り額は約16万円です。横浜市で一人暮らしの生活保護費が、月約13万円であることから、Yさんの生活が厳しいものであることがわかります。しかしながら、2022(令和4)年賃金構造基本統計調査結果の概況から正規・正職、学歴別、年齢別に比較してみても大卒45歳Yさんの実際の賃金とは大きな開きがあることがわかります。
賃金の上昇が少ないYさんにとって、最近の物価高は特段大きな痛手です。総務省統計局の消費者物価指数をみると、2022年4月から一気に2.1%まで上昇し、その後も上昇傾向は続き、2023年1月には4.2%まで上がっています。物価上昇し続けているなか、Yさんをはじめ、現在もさまざまな課題に直面している人は限界を感じているのではないでしょうか。
Yさんは体調を崩して仕事を休まなければいけなくなったときに、光熱費が払えず、トイレの水を流すのが2日に1度になったこともあるそうです。身体を回復させなければならないのに、朝も晩も食パンしか食べられないという日が何日も続いたとのこと。今後、高齢になっても働き続けなければ生活費もままならないのに、加齢とともに身体が弱ると思うように働けず、老後はいまよりもさらに恐ろしい事態になるのではないかと怯えています。
労働力人口の中心である氷河期世代へ救済を
バブル崩壊後、リーマンショックやコロナショックと経済悪化により、不安定な仕事に就いている、もしくは無業の状態にある人は、Yさんのように貧困状態から抜け出せず、社会参加に向けた支援を必要とする人は少なくありません。
現在、就職氷河期と呼ばれている人は、年齢的に中核的な立場にある世代の人です。国が相談窓口、教育訓練から就職、定着まで支援を積極的に行い、いままさに労働力人口の中心となっているYさんをはじめ、この世代の人たちが危機から脱出することを願うばかりです。
三藤 桂子
社会保険労務士法人エニシアFP
代表