勤続38年の大卒サラリーマンが受け取る退職金額は、平均2,243万円。「自分へのご褒美に」と少しは贅沢してみたくなる気持ちはわかりますが、使い過ぎは禁物。現役時代と同じペースでお金を使い続ければ、退職金はあっという間に底をついてしまいます。そして、使いすぎてしまった分を「投資」で取り戻そうとするのは最悪の選択。実際に、その投資に失敗して「老後破産」という結末を迎える人も珍しくありません。シニアの投資が大失敗に陥るいくつかのパターンと、安心の老後を迎えるためのポイントをみていきます。
退職金2,200万円を受け取った60歳・元大卒会社員「お金、使いすぎちゃった。投資で取り戻そう」…泥沼に陥る〈3つのパターン〉 (※写真はイメージです/PIXTA)

現役時代に生活水準のダウンサイジングを

退職金としてまとまった金額を受け取り、悠々自適な老後が手に入るかと思いきや、贅沢な出費で預金残高が急速に減り、使いすぎたお金を取り戻そうと手を出した投資で失敗をおかすという最悪のケースについてみてきました。

 

この悪循環にはまってしまう最大の要因は、現役時代の生活水準を維持しようとしてお金を使いすぎてしまうこと。シンプルですが、理由はこれに尽きます。毎月安定収入があった現役時代の金銭感覚そのままに老後生活に突入すると、平均寿命の前に必ず貯蓄が底を尽き、生活が破綻してしまうリスクが高まるのです。

 

定年退職後に毎月の赤字額がどんどん大きくなっていく様子を目の当たりにすれば、まずは食費や交際費などの「変動費」を削ろうと考えるでしょうが、これは得策ではありません。食べたいものを我慢する、友達と会うのも控えるという生活への急速なシフトチェンジには大きな苦痛が伴い、多くの場合、途中で挫折してしまうはずです。

 

引退後、収入が年金のみになることが明白な場合、50代の現役のうちから徐々に生活をダウンサイジングしていくことが、定年退職後の生活を充実したものにするためのポイントといえるでしょう。

 

具体的には、子どもがすでに家を出ているのであれば夫婦2人で暮らすのに十分なサイズの家に住み替える、電車やバスなどの公共交通機関が発達している地域に暮らしているのであれば自家用車を手放すなど、毎月・毎年かかる「固定費」を削減することこそが、最優先で取り組むべき課題です。

 

毎月の安定収入があるうちにこうした準備を始めておくことが、安心の老後を過ごすためには不可欠です。