公務員には副業規定がありますが、規定内であれば不動産投資などで副収入を得られるチャンスがあります。金融機関の評価が高い公務員は、融資審査に通りやすく、ローンを組んでの不動産投資も始めやすいでしょう。今回は、Aさんの事例をもとに現在40歳の公務員が投資した場合、老後にどれだけのメリットがあるのかをFP1級の川淵ゆかり氏がシミュレーションします。
40歳・消防士「4,000万円のローンを組んでアパート投資」衝撃の35年後【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

国家公務員と地方公務員の副業規定

厚生労働省が平成30年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表したことで、企業が副業を認める動きも進んできました。公務員の方のなかにも、老後のために副業を始めたいと思っている方もいらっしゃるでしょう。特に2040年には全国1,800市区町村の半分の存続が難しくなるといわれており、人口減少による自治体存続が危ぶまれている状況で、人口減少に悩む地域の地方公務員で将来に不安を感じている人も多いと思います。

 

国民に奉仕する立場にある公務員は、国家公務員法と地方公務員法により基本的に副業が禁止されています。内容は次のとおりです。

 

1.国家公務員

・国家公務員法 第101条(職務に専念する義務)

・国家公務員法 第103条(私企業からの隔離)

・国家公務員法 第104条(他の事業または事務の関与制限)

 

2.地方公務員

・地方公務員法 第35条(職務に専念する義務)

・地方公務員法 第38条(営利企業への従事等の制限)

 

一方で、条件さえ満たせば副収入を得ることも認められることをご存じでしょうか? 実際、公務員の方でもアパート経営から駐車場経営、太陽光発電投資まで、副収入を得るための行動に移している人は増えてきているのです。

公務員が「副収入を得ること」を認められるケース

今回は、アパート経営を検討している地方公務員のAさんのケースをご紹介します。

 

地方に住む40歳で消防士のAさんは、大学の側の土地を相続したことからアパート経営を検討しています。相続したのは主に土地であり、アパート経営を始めるためにローンを利用することにしました。ローンを利用する前にどの程度の収益が見込めるのかを知りたくて、筆者の事務所に来られた方です。

 

前述のとおり、公務員の副業は基本的に禁止されていますが、Aさんが始めたアパート経営については、副業ではなく「不動産投資」とみなされることから一定の条件を満たせば公務員でもアパート経営により収入を得ることは可能となっています。

 

「人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」を読み解くと、公務員がアパート経営ができる条件は次の3点となり、これを守らなければ、営利を目的とした不動産投資となり、公務員としては相応しくない、と判断されてしまいます。

 

①4棟9部屋以下にする。

②家賃収入は年間500万円未満に抑える。

③管理業務は管理会社に委託する(管理業務を自分で行ってはいけない)。

 

なお、これらの一定規模を超えてしまう場合は届け出が必要になりますのでご注意ください。

 

公務員は、社会的な信用度が高く安定した職業ですから、アパートローンの審査にも通りやすく、管理会社に管理業務を任せてしまえば本業に影響はありません。老後もうまく経営が続けられると、長期間にわたってよい不労所得を獲得し続けることができます。

 

しかしながら、不動産経営は長期にわたるため、経営期間中になにが起こるかわかりません。「終わってみないと収益結果はわからない」部分ももちろんありますので、なかなか難しいのもではないか、と筆者は考えています。

 

一般的なアパート経営での計算方法によるAさんのアパート経営のシミュレーションは次のとおりです。