最近は賃貸派が増えているといわれるものの、まだまだ根強い日本の「持ち家志向」。マイホームの購入に際しては、ほとんどの人が住宅ローンを利用しますが、平均的な給与の会社員は、どのような返済プランを立てているのでしょうか。詳しくみていきます。
「中古でいいから、マイホームがほしい」…年収540万円・40代会社員が“ムリなく払える”住宅ローン返済プランは? (※写真はイメージです/PIXTA)

平均的な会社員のローン完済は70歳過ぎ…もう少し早く払い終えるには

また住宅購入の際の借入額と返済年数から、月の返済額を逆算していくとどうでしょう。

 

中古分譲マンションを3,025万円、30年返済の住宅ローンを活用して購入したとします。返済方式は元利均等、金利は0.5%とすると、利息分は233万1,569円、月々の返済額は9万504円。年間で108万6,048円で、年収(540万円)の20%以内に収まることがわかります。

 

また物件価格の1割を頭金として入れた場合、借入金額は2,722万5,000円。利息分は209万8,382円、返済額は月々8万1,454円、年間で97万7,448円。年収の18%台に収まり、返済の負担感は大きく軽減されます。

 

月々8~9万円ほどの返済を30年間続けることを見据えてマイホームを実現する…これが日本でマイホームの夢をかなえるサラリーマンの平均的な姿といえるかもしれません。

 

ただこの通りの返済プランで進めていく、というのは少々不安が残るところ。その理由は完済時期にあります。

 

仮に40歳時に30年返済のローンを利用したとなると、ローン完済に至るのは70歳のとき。多くの人が年金生活となっているタイミングです。ではもう少し完済時期が早くなるようにしたら、月々のローン負担はどうなるのでしょうか。上と同じく、3,025万円の借入を行って中古分譲マンションを購入した場合で考えてみましょう。

 

65歳のときに完済すべく25年のローンを利用した場合、月々の返済額は10万7,287円。30年ローンを利用した場合に比べ、月々の返済額は2万6,000円ほど増え、返済負担率も23.8%ほどに高まります。とはいえ、「適正な」負担率は20~25%とされていますから、多少の負担感はあるものの、十分許容範囲内の返済プランといえます。

 

ただ、住宅ローンの返済を行う現役期間中、少しも途切れることなく同じ水準の給与を得られ続ける保証はどこにもありません。勤め先の業績悪化による収入減や、病気や怪我になどのトラブルに見舞われるリスクもあるのです。

 

そうした事態に備え、マンション購入時にはできるだけ多くの自己資金(頭金)を投入しておくのは有効な対策といえます。そのほか、都内勤務のサラリーマンであれば物件価格上昇の著しい23区の物件は早々にあきらめ、お手頃な物件が手に入りやすい埼玉県や千葉県など近隣県も視野に入れてマイホームを探してみる必要があるかもしれません。

 

ローン完済時の年齢、上記のシミュレーションであれば65~70歳頃の自身の収入の状況をイメージして、現役時代に毎月住宅ローンを返済しながら、同時に引退後の生活を支えるための資産形成も行っていけるような計画を立てることが重要です。