(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資ビギナーは「新築ワンルームマンション」を選びがちだが、実は、より安定した収益が見込めるのは「木造中古アパート投資」である。その最大の理由は、「実質利回り」の高さにある。不動産投資における「利回り」の考え方、木造中古アパート投資で高い利回りが得られる理由について、Jグランド株式会社ソリューションセンター・センター長の磯ヶ谷壮彦氏に話を聞いた。

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不動産広告では明かされない「実質利回り」とは

不動産投資においてオーナーが最も重視すべきは「利回り」です。利回りは収益不動産の“偏差値”のようなもので、価格・家賃などのデータが揃えば簡単に計算することができます。

 

利回りには、不動産の購入価格と家賃収入のみで算出する「表面利回り」と、不動産の購入時・購入後にかかる諸経費も含めて算出する「実質利回り」の2種類があります。それぞれの計算方法を紹介します。

 

【利回りの計算方法】

・表面利回り=年間家賃収入÷購入価格×100(%)

・実質利回り=(年間家賃収入-購入後の諸経費)÷(購入価格+購入時の諸経費)×100(%)

 

実質利回りの計算式にある「購入時の諸経費」「購入後の諸経費」の内訳はそれぞれ以下の通りです。

 

【購入時の諸経費】(すべて一括払い)

・不動産仲介手数料

・不動産登記費用(司法書士への手数料と収入印紙代)

・金融機関への融資手数料 等

・固定資産税、不動産取得税の清算金

・売買契約書に貼る収入印紙代

・手付金・購入代金支払いの際の振込手数料

 

【購入後の諸経費】

・賃貸管理会社に支払う管理委託料(月払い)

・管理組合に納める管理費・修繕積立金(月払い ※区分所有不動産の場合)

・固定資産税、都市計画税(年、または期分け払い)

・突発的な設備故障による修繕費用(不定期)

・退去時の原状回復費用(不定期)

 

一般的に、購入時の諸経費は購入価格の7%程度、購入後の諸経費は年間家賃収入の10%程度といわれます。諸経費のデータが揃わない場合は、これらの割合を目安にしても良いでしょう。

 

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「利回り」の計算例

ここで、収益不動産A(購入価格7,000万円、年間家賃収入360万円)の利回りを計算してみましょう。

 

まずは表面利回りから。表面利回りは、年間家賃収入と不動産購入価格だけで算出できるので、

 

360万円÷7,000万円×100=5.1%

 

です。

 

次に実質利回り。改めて、計算式を挙げておきます。

 

・実質利回り=(年間家賃収入-購入後の諸経費)÷(購入価格+購入時の諸経費)×100(%)

 

購入時の諸費用を7%、購入後の諸費用を10%として計算すると、

 

(360万円−36万円)÷(7,000万円+490万円)×100=4.3%

 

です。

 

結果として、表面利回り(5.1%)と実質利回り(4.3%)とで0.8%の差があることがわかります。

 

ちなみに、不動産販売広告に記載されている利回りは「表面利回り」であることがほとんどです。気になる物件が見つかったら、前述の計算方法を参考に「実質利回り」を確認しておくことをおすすめします。

 

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「木造」+「中古」が驚異の高利回りを叩き出す

ではなぜ、木造中古アパート投資は利回りが高くなるのでしょうか。それは、「木造」と「中古」の両方のメリットが生きるからです。

 

まず、「木造」という点について。木造建物は法定耐用年数が22年であり、鉄筋コンクリート造(47年)の半分以下なので資産評価が低く抑えられます。

 

次に、「中古物件」という点について。新築物件だと、物件自体の価格が高いため、どうしても利回りが低くなってしまいます。これに対し中古物件は、新築と比べて大幅に安く購入できるので、その分、利回りが高くなります。

 

したがって、鉄筋コンクリート造より木造、それも中古物件の方が初期投資を抑えられることができ、その結果、高い利回りが期待できるのです。

 

たとえば、予算5,000万円で、東京23区内に建つ新築RC造マンションの物件B(1LDK×1戸)を購入した場合と、東京都下(23区以外の市町村)に建つ中古木造アパートの物件C(ワンルーム×8戸)を購入した場合の実質利回りを比較してみましょう。

 

くどうようですが、ここでもう一度、実質利回りの計算式を挙げておきます。

 

・実質利回り=(年間家賃収入-購入後の諸経費)÷(購入価格+購入時の諸経費)×100(%)

 

また、ここでも、購入時の諸費用は7%、購入後の諸費用は10%として計算します。

 

まず、物件Bが建つ「東京23区内」の1LDK家賃相場は月額12万円、年間合計144万円なので、実質利回りは、

 

(144万円-14万4,000円)÷(5,000万円+350万円)×100=2.4%

 

です。

 

一方、物件Cが建つ「東京都下」のワンルームの家賃相場は月額3万円です。アパート1棟の月額家賃総額は24万円(3万円×8戸)、年間合計288万円になるので、実質利回りは

 

(288万円-28万8,000円)÷(5,000万円+350万円)×100=4.8%

 

です。

 

同じ5,000万円の投資でも、中古木造アパートの実質利回りは新築RC造マンションの倍になることがわかります。

 

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中古木造アパート投資で想定される課題

このように、中古木造アパート投資は高い実質利回りが見込めます。しかし、注意しなければならない課題もあります。

 

まず、共用部の維持・管理。廊下や階段、エントランスなどにかかる諸経費がすべてオーナー負担になることです。

 

次に、老朽化。木造建物は築10年頃から傷みが顕著になります。

 

加えて、エアコンなどの室内設備が複数戸で連鎖的に故障するような事態も考えられます。

 

アパート等の一棟物件では、室内外を問わず突発的な不具合に対応しなければならないリスクがあります。その際に「お手上げ」とならないため、購入時に室内設備や配管の入替、外壁塗装・防水工事等の中長期修繕計画を立てておくことも大切です。

 

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「実質利回り」を重視した物件選びを

不動産投資における収益判断と目安として、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。

 

とくに重視すべきは実質利回りであり、鉄筋コンクリート造マンションより中古木造アパートへの投資を選んだ方がその恩恵を得やすい傾向にあります。

 

中古木造アパート投資には共用部の維持・管理や木造ならではの劣化の早さといったオーナー負担の重さもあります。それらも実質利回りに密接にかかわってきます。収益だけに囚われず、様々なリスクも想定しながら投資物件を選ぶことが賢明です。

 

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