(※写真はイメージです/PIXTA)

高収入のサラリーマンの節税対策として有効な方法の一つとされる不動産投資だが、どのような物件を選ぶべきか。近年、少額から始められるということで人気の「新築ワンルームマンション」と、古くから「節税向け」として定評のある「木造中古アパート」とを比較したらどうなるのか。数多くの投資物件を扱うJグランド株式会社 ソリューションセンター・センター長の磯ヶ谷壮彦氏に話を聞いた。

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サラリーマンが「手取り」を増やすための「資産防衛策」

サラリーマンは給与収入の2~3割が税金等で取られています。しかし、この問題を深刻に受け止めている人は意外に少ないようです。サラリーマンの場合、確定申告は勤務先の労務課や総務課にすべてお任せのため危機感が薄いのかもしれません。

 

勤務先から毎年手渡される「源泉徴収票」をご覧ください。そこに記載されている「源泉徴収税額」が天引きされている所得税になります。年末調整で幾分かは還付されますが、その金額は微々たるものです。日本では、高収入であればあるほど高額な所得税が徴収されるしくみになっています。そこで、可能な範囲で資産防衛策をとることをおすすめします。その方法の一つが、不動産投資、つまり、不動産物件を購入し、賃貸して収益を得ることです。

 

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不動産投資が「節税」につながるしくみ

では、不動産投資がなぜ「節税」につながるのでしょうか。その理由は以下の通りです。

 

◆減価償却費

不動産を賃貸して得られる所得を「不動産所得」といいます。賃料収入から賃貸管理費、建物修繕費等の「経費」を差し引いて算出します。その際、建物の購入代金を、複数年に分けて経費として計上することができます。これを「減価償却費」といいます。

 

建物の購入代金は高額なので、減価償却費も大きな額になります。「複数年に分けて」といいましたが、この年数は「耐用年数」といい、物件の構造・用途、新築か中古かにより決まっています。耐用年数が短いほど、1年あたりに計上できる減価償却費は大きくなります。

 

◆損益通算

上述の減価償却費は大きな額になるので、不動産所得の計算上、マイナス(損失)が生じることがあります。このマイナスは、キャッシュの流出を伴わない計算上のみのマイナスです。賃料収入で儲かっていても、税務上はマイナスということになります。

 

そして、不動産所得の場合、マイナスが出たら他の所得から差し引くことができます。「損益通算」といいます。もちろん、給与所得から差し引くことができるのです。これによって、課税所得金額が抑えられ、結果的に「節税」の効果があるということです。

 

◆ローンによる「レバレッジ効果」も

手持ちの資金に加えて「不動産投資ローン」を利用すれば、より大きな額の減価償却費を計上することができます。これは、「てこの原理」になぞらえて「レバレッジ効果」といわれることがあります。また、ローンの利息は経費として計上できます。

 

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「節税」に適した物件とは?物件のタイプごとに比較する

ただし、「節税」を目的として不動産投資を行う場合、それに向いた物件を選ぶ必要があります。前述のように、「節税」になるのは、単年度に多額の「減価償却費」を計上できる物件です。つまり、減価償却する期間(耐用年数)が短い物件を選ぶ必要があります。

 

ここで、鉄筋コンクリート造(以下、RC)の新築ワンルームマンションと、木造中古アパート物件でどれだけ節税効果に差があるのか事例をもとに検証してみましょう。

 

給与所得金額1,000万円のサラリーマンが、RC造新築マンションの「メゾンA」の区分1室に投資した場合と、中古の木造アパート「コーポB」1棟に投資した場合とで比較します。いずれも購入価格は5,000万円で、満室の状態が続いたとします。

 

【メゾンA】(RC造新築マンション(区分1室))

・年間家賃収入:144万円(月12万円)

・諸経費(減価償却費以外):15万円(家賃収入額の10%で計算)

・減価償却費:106万3,830円(耐用年数47年)

 

【コーポB】(木造中古アパート(1棟))

・年間家賃収入:360万円(月5万円×6室)

・諸経費(減価償却費以外):36万円(家賃収入額の10%で計算)

・減価償却費:1,250万円(耐用年数4年)

 

◆メゾンA(RC造新築ワンルームマンション)に投資した場合

まず、メゾンAに投資した場合の「不動産所得」の損益は以下の通りです。

 

【メゾンAの損益】

年間家賃収入144万円

-経費(諸経費15万円+減価償却費106万3,830円)

=22万6,170円

 

不動産所得の損益は22万6,170円のプラスなので、給与所得との「損益通算」はできません。つまり、節税効果はないということになります。

 

◆コーポB(木造中古アパート)

これに対し、コーポBの損益は以下の通りです。

 

【コーポB】

年間家賃収入360万円

-経費(諸経費36万円+減価償却費1,250万円)

=-926万円

 

不動産所得の計算上、926万円のマイナス(損失)が発生し、これを「損益通算」によって給与所得から差し引くことができます。たとえば、給与所得金額が1,000万円で他に所得がなければ、総所得金額は74万円になります。

 

コーポBに投資をしなかった場合、所得税の額は以下の通りです。

 

総所得金額1,000万円×税率33%-控除額153万6,000円=176万4,000円

 

これに対し、コーポBに投資をした場合、所得税の額は以下の通りです。

 

総所得金額74万円×税率5%=3万7,000円

 

コーポBに投資すれば、年間172万7,000円の税金を抑えることができます。

 

つまり、「節税」を目的として不動産投資をする場合には、RC造新築ワンルームマンションよりも、木造中古アパート1棟の方が向いていることになります。

 

ここでは新築のRC造マンションと中古の木造アパートを比較しましたが、あくまで、「節税」を目的とした場合の比較であって、「新築」や「RC造」が投資に値しないということを言っているわけではありません。新築物件であればリフォーム費用はかかりませんし、中古物件より高い家賃が取れるので不動産投資初心者でも安心して取り組めるという利点もあります。

 

このように、不動産投資をする場合には、どのような目的で行うのかをはっきりさせることが大切です。そして、「節税」を目的とするのであれば、最大のポイントは多額の「減価償却費」を計上できるかということであり、その観点からは、木造中古アパートが最適ということになります。もちろん、「節税」を目的とするにしても、あくまで「投資」なので、収益性はきわめて重要です。立地条件等を吟味し、きちんと収益を得られる物件を選ぶ必要があります。

 

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