老後のお金について解説する本連載。今回の相談者は、退職金受給者限定のキャンペーンとして銀行から案内された「抱き合わせ円定期」を契約した65歳のKさん。「年率5%」の定期預金で賢く運用できる計画でしたが、数ヶ月後、資産の状況をみて愕然とします。Kさんは、どうすれば失敗を避けられたのでしょうか。アルファ・ファイナンシャルプランナーズの代表取締役・田中佑輝氏が解説します。
銀行員「退職金を受け取られた方限定のご案内です」…“年率5%”の「抱き合わせ円定期」に500万円投じた65歳・男性の後悔【FP相談事例】 (※写真はイメージです/PIXTA)

退職金受給者限定のキャンペーン「抱き合わせ円定期」とは

「抱き合わせ円定期」とは、銀行が退職金受給者限定のキャンペーンと銘打って出している定期預金商品の一つです。「1ヵ月~半年程度の円定期預金」と「対象商品(投資信託や保険など銀行が手数料を稼げる商品」の申し込みを同時に行うことで、円定期預金の金利が優遇されます。

 

円定期と組み合わせる対象商品は、銀行により異なりますが、Kさんが選択した商品は下記3つのプランから選択可能でした。

 

新規資金プランA…金利5%のプラン。円定期を初めて利用する際に、円定期と投資信託または外貨定期預金を組み合わせる
新規資金プランB…金利2%のプラン。円定期を初めて利用する際に、円定期同士を組み合わせる
スタンダードプラン…金利3%のプラン。円定期と投資信託または外貨定期預金を組み合わせる

 

抱き合わせ円定期は、対象の商品と組み合わせるだけで上記のような高金利が適用されるため、円定期預金のみの資産運用よりも資産を増やせますし、「退職金限定」ともなると、使う側は「やっておかないともったいない」という気持ちになってしまう人が後を絶ちません。

 

ただし、金利優遇は3ヵ月のみで、その後は満期日の定期預金または普通預金の金利が適用されますので注意が必要です。また、利子所得には源泉徴収課税20.315%(国税15.315%と地方税5%)が課税されることも理解しておく必要があります。