失敗要因はどこにあったのか…FPからのアドバイス
では、Kさんが抱き合わせ円定期で失敗しないためには、どうすればよかったのでしょうか。失敗要因や改善すべき点などについて解説していきます。
失敗した要因
今回、Kさんが抱き合わせ円定期で失敗した要因は主に下記の2点です。
Kさんは銀行の担当者から「抱き合わせ円定期なら金利が5%で高金利」と聞いていました。
ただし、金利5%というのは「年率5%」なので、金利優遇される3ヵ月間の金利は1.25%となり、3ヵ月間で5%の利子所得を得られるわけではありません。
また、銀行で取り扱っている投資信託は、購入時の手数料と保有していると取られる信託報酬がネット系証券などと比べると高い傾向にあります。Kさんが購入した投資信託は、購入手数料が3%でしたが、ネット系で購入していたら0~1%の商品でした。抱き合わせ定期の金利を1.047%受け取れたとしても、ネット系で購入していたほうが手数料が安かったのです。
また、もう一点気を付けなければならなかったポイントは、Kさんは「銀行だから変な商品は紹介してこないだろう」と信用してしまったこと。銀行を信用して買ったようですが、決してパフォーマンスは良くありませんでした。
改善すべき点
では、Kさんはどうすれば抱き合わせ円定期で失敗しなかったのでしょうか。改善すべきポイントは下記3点です。
まず大前提として、抱き合わせ商品がすべて悪いわけではないのですが、定期預金の金利の高さに目が行き過ぎてしまっていたことが最大の敗因です。たかだか1%ちょっとの利息欲しさに杜撰な投資信託を購入してしまい、1%を超える損失をいとも簡単に出してしまったことがダメでした。
定期預金の金利だけでは、資産はほとんど増えません。そのため、定期預金の金利をあてにするのではなく、投資信託の価値に目を向けるべきでした。
投資信託とは、投資のプロに代わりに運用してもらう資産運用方法です。さまざまな国や会社の株式に分散投資してくれるので、個別で株式銘柄を選定したりする必要がなく、株式の知識があまりなくても安心して資産を増やしやすいことが特徴です。
しかし、知識があまりなくてもいいとはいえ、投資信託についての基礎知識は必要です。投資信託はプロに資産を運用してもらう代わりに、信託手数料などの手数料を支払わなければなりませんし、それが商品によって異なります。
投資信託は何千種類もあり、日本国内だけでなく、米国や中国、東南アジアの株式に投資するもの、国内外の債券に投資するもの、それらを組み合わせたものなどがあります。一口に投資対象を米国株式としている投資信託といっても、S&P500指数に連動するように設計されたものや、医療系・IT系の株式だけを対象にしたものなど、商品によってパフォーマンスも大きく異なります。
金融の営業マンの言葉を鵜呑みにするのではなく、基礎知識を身につけ、しっかりと商品選択もできるようになっておくことが重要です。