厚生労働省によると、日本人の平均寿命は年々伸びており、女性が87.57歳、男性が81.47歳となっています(令和3年簡易生命表)。そのようななか、長寿を見据えるうえでは、健康面だけでなく「金銭面」も事前の対策が不可欠です。では、60歳で定年退職した後、働かずに夫婦で100歳まで生きることを想定した場合、貯蓄はいくらあれば足りるのか、FP Office株式会社の奥惠美FPが事例を交えて解説します。
年収600万円の37歳・会社員(未婚)「60歳で定年退職後は100歳まで夫婦でのんびり暮らしたい」…必要な貯蓄額をFPが計算 (※写真はイメージです/PIXTA)

効率よくお金を貯める「6つ」のコツ

「退職までに2,000万円超お金を貯める」と聞くと不安を感じてしまいますが、お金を貯めるコツとしては以下の6つが挙げられます。

 

1.家計の収支を把握し、生活コストを見直す

ご自身の収入と支出を詳細に把握し、ムダな出費を見つけて削減することが重要です。生活コストを見直すことで、貯蓄の余裕が生まれます。

 

2.「先取り貯蓄」をする

将来必要になる費用や目標に向けて、毎月の定額貯金を行うことをおすすめします。給与の一部を自動的に貯蓄に回すことで、将来の資金不足や予期せぬ出費に備えることができます。

 

3.目的別に口座を分けて管理する

緊急時の備えや教育費、老後の資金など、貯蓄の目的ごとに専用の口座を作り、それぞれ資金を管理することも有効です。これにより、貯蓄の進捗状況が明確になります。

 

4.借金や住宅ローンなどの借入れ条件を見直し、利息の負担をなくす

借金の返済や住宅ローンの利息は負担が大きいため、できるだけ早く返済するか、条件の見直しを検討することが重要です。具体的には、低金利のローンへの借り換えや返済プランの再検討によって、負担を軽減することができます。

 

5.副業などで複数の収入源を持ち世帯年収を増やす

副業やパートタイムなど、追加の収入源を確保することで、世帯年収を増やし生活費や貯蓄にあてることができます。

 

6.各種控除、iDeCo、ふるさと納税、つみたてNISAなどの制度をフル活用する

税制や投資に関する各種制度を活用することで、節税や資産形成をサポートできます。たとえば、所得控除や年金控除を活用したり、個人型確定拠出年金(iDeCo)やつみたてNISAを活用したりすることで、将来の貯蓄や資産運用の効率を上げることができます。

 

◆まとめ…それぞれに合ったライフプランニングを

3パターンのシミュレーションを行った結果、もし子どもができた場合、教育費の負担が大きくなる時期には現在の貯金方法では資金が不足してしまい、老後に向けた貯蓄も限られてしまうことが判明。しかし、NISAやiDeCoなどの制度を活用し、資金運用の仕組みを作ることで、どのような未来になっても安心できるプランを作成することができました。

 

小林さんは、「具体的な数字やグラフを見ることで、漠然とした不安が解消され安心感を得られた」と笑顔に。また、「今回作った貯蓄計画を達成するために、しばらくは一生懸命仕事に取り組みたい」との決意を胸に、事務所を後にされました。

 

人生100年時代の昨今、具体的なプランニングを通じて将来に向けた貯蓄目標を設定し、安心できる未来を積み上げていくことが重要になってきます。また、結婚や子どもの誕生など状況が変化した場合には、それに合わせてプランを見直し、柔軟に対応することも大切です。

 

小林さんがFPや専門家のサポートを受けながら、貯蓄目標を達成していくことを願っています。

 

 

奥 惠美

FP Office株式会社

ファイナンシャルプランナー