高給取りでも貯蓄ゼロ…現役引退後の悲しき末路
年収1,200万円以上。そんな高給取り、どのような人かといえば、たとえば大企業(従業員1,000人以上)の大卒・部長(平均年齢52.8歳)。その平均給与は月収で75.6万円、年収で1269.8万円です。
おひとり様の高給取りなのに、貯蓄ゼロ。そこに「高給取りだから大丈夫」という慢心があり、趣味などに散財しているなら、この先はかなり不安です。
役職定年などはなく、定年年齢まで部長職だったとしましょう。現在、多くの企業で60歳が定年年齢ですが、そこで「そのまま働き続けるか」、それとも「現役を引退するか」、大きく二択となり、7~8割程度の人は、前者を選択しています。
その際、部長職ではなくなり、また雇用関係も正社員から契約社員や嘱託社員になるのが一般的。そこで給与は3~5割程度減少します。
そして65歳。原則、公的年金が支給される年齢で、また仕事を続けるかどうか、選択をすることになるでしょう。早かれ遅かれ、年金生活に入ります。このときも収入は3割ほど減少します。
つまり10年ほどの間に、収入は現役時代の2~3割程度にまで減少。この収入の減少に合わせるのは想像以上に難しく、自己破産を迎えるケースも珍しくはありません。
また老後に賃貸暮らしも加わると、さらに深刻度が増します。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会『第26回日管協短観』によると「高齢者入居受け入れに対して拒否感あり」は、23.7%。首都圏では12.3%に対して、関西圏では52.9%。首都圏と関西圏を除く全国では56.5%と、圧倒的に高齢者の賃貸暮らしは不利です。
――大家が望むのは、入居期間中に亡くなる可能性が少なく、家賃滞納せずに長期入居してくれる賃貸人。一度入居させると年齢を理由に退去しない高齢者は断りたい
そういうのは大家本人の投稿。入居を断られ続け、「住むところもない……」と途方に暮れる。おひとり様の高給取り、そんな末路も決して大袈裟ではないのです。
現役時代、低収入だろうと高収入だろうと、老後を見据えての資産形成は必須。どのようなライフスタイルを実現したいか、具体的にイメージし、そこから逆算することが第一歩となります。