(※写真はイメージです/PIXTA)

創業者やオーナー社長、会社の発展に貢献した方がご逝去されると、多くの企業では「社葬」の開催を検討します。一般的な葬儀についてはなんとなくイメージができる方も、会葬の機会が少ない社葬については、詳しくわからないという方がほとんどではないでしょうか。そこで本記事では、社葬の役割や実施の流れ、注意点などについて株式会社ハウスボートクラブの代表取締役社長・赤羽真聡氏が解説していきます。

社葬を実施する際の流れと注意点

まずはご遺族・ご家族に許可を得る

どの種類の社葬を選択するにせよ、もっとも大切なことは、ご家族の気持ちです。突然の訃報に、深い悲しみのなかにいるご家族に、まずは丁寧に寄り添う必要があります。

 

会社として社葬を執り行いたい旨をご家族に申し出れば、ほとんどの場合、同意が得られると思われがちですが、すべてそうとはいえません。もし、ご家族が社葬の執行を辞退された場合、押し付けるようなことがあってはいけません。大切な人を失ったばかりで、混乱されているのかもしれませんし、謙遜や遠慮をされていることもあるでしょう。

 

また、故人の社内外における影響力の大きさを、ご家族があまり理解されていないということもあります。社葬を行わず、近親者のみの密葬だけで済ませた場合、「お別れもできなかった」と残念に思う関係先も少なくないはずです。なかには、「なぜ、あれほどの方の社葬をしないのか?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。だからこそ会社として追悼の場を設ける意味を、丁寧に誠意をもってお話していきましょう。

 

 

ご家族の同意を得たら…社内で社葬運営を進める

ご家族から社葬執行の同意を得られたら、ご家族と連絡を密に取り合い、意思の疎通を図りながら、会社とご家族の双方が納得できる形に決めていきます。

 

まずは緊急役員会を開催し、葬儀実行委員会を編成します。葬儀委員長は、ほとんどの場合、施主である会社の代表が務めますが、場合によっては外部の取引先関係者に依頼することもあります。葬儀実行委員長は、社葬運営における実質的な責任者です。多くは役員、総務部長や人事部長が務め、社葬運営の全体を把握します。

 

葬儀実行委員会(葬儀本部)の編成は、各部署より選出された社葬の実行委員で構成し、総務・人事・秘書の担当者や施行業者とも連携する体制を整えます。それから、葬儀実行委員(係員)の役割分担をおこないます。受付・記帳係、接待係など、当日の葬儀実行委員の役割分担を決めます。施行業者に依頼することと社内で行うことを明確にしておきます。

 

社葬やお別れ会の執行が決まったら、葬儀実行委員会の編成とともに、施行を依頼する信頼できる事業者を早めに決定する必要があります。会場を選定するにあたって、まずは目安となる規模感(参加者数)と日程、また全体の予算を検討しましょう。

 

全体のイメージが固まったら、企画から会場との打合せ、祭壇の提案や供花の管理、案内状の作成と発送、そのほかさまざまな手配一式を、葬儀実行委員と施行業者の二人三脚で準備を進めていきます。目安として、半年~3ヵ月前までに会場選定と参加者のリストアップをし、1~2ヵ月前までには参加者へ案内が届くように準備します。

 

映像コンテンツや制作物がある場合には、そのあいだに素材を集めデータを確認する必要もあるため、会社の広報部門の担当者を実行委員に含めておくとスムーズに進行しやすいです。

 

案内状の返信が届き始めるのと同時に、供花(※祭壇の脇に飾る花)の申込も増えてくるため、企業名のお札リストを作成し管理します。そのほか、開催当日にスピーチをする方の原稿を作成したり、当日の係員の動きを確認したりします。そう考えると、時間がたっぷりあるようにみえてもあっという間に当日を迎えることになりますので、施行業者と連携して効率よく進めていきましょう。

まとめ

社葬の種類について、3つの形式を紹介し、また社葬を実施する際の注意点について、まとめました。

 

どのような種類・形式にするにせよ、なんのために社葬を行うのか、その目的について、常に念頭に置いておいて進めることが大切です。限られた時間のなかで通常業務と並行して準備を進めていくのは大変労力のかかることですが、社員1人ひとりが、重要な儀式であるという認識をもって準備を進めていくなかで、社内の結束を高めることができます。