必要最低限の生活費も手にできない、日本の年金生活者
一方で、貧困率には「絶対的貧困率」という考え方も。これは言葉の通り、最低条件の基準以下の貧困だということ。生活保護の基準となる最低生活費をみていくと、「東京都23区/65~69歳」の場合、生活扶助基準額が7万6,880円、住宅扶助基準額は5万3,700円。つまり賃貸暮らしであれば13万0,580円、持ち家であれば7万6,880円が生きるための最低限必要であるということです。
冒頭の厚生労働省の調査によると、年金月7万円以下の人は、国民年金受給者で3,000万人強、厚生年金受給者で97万人ほど。国民年金は満額支給で6.6万円ほどなので、ほとんどの人が年金月7万円以下であるのは納得のいくところ。しかし、プラスαで保険料を納めている厚生年金受給者でも、月7万円以下の人が100万人近くいます。
これらの高齢者がすべて貧困に陥っているというわけではありません。ただ日本では最低生活費を下回る年金しか手にできない人が多数派であるというのが現実。公的年金が収入のほとんどを占める高齢者は、もともと生活困窮リスクが高いといえます。また家族の支援も受けにくいおひとり様は、さらにリスクが高いといえるのです。
日本の高齢化率はこれからさらに上昇するのは確実。年金も今後20年ほどで2割は目減りするといわれていて、ますます年金に頼ることができない未来が待っています。悠々自適な老後を実現するには、自助努力が必要であることが明確な現代日本。いつか資産形成をスタートさせればいい……そんな悠長なことは言っていられません。