長い長い現役を引退。老後は悠々自適に過ごしたい……誰もが憧れることですが、少子高齢化が進む日本では、そうはいかないことがみえてきました。厳しさ増す、日本人の老後。みていきましょう。
年金5万円・60代のおひとり様…「年金・振込日まであと1ヵ月」も財布の中には小銭だけ「これで、どう生きていけと」 (※写真はイメージです/PIXTA)

「金融資産なし」のおひとり様…1/4以上

厚生労働省の調査*1によると、国民年金受給者の平均年金額は5万3,185円、厚生年金受給者の平均年金額は14万5,665円。また平均的な高齢夫婦(元会社員と専業主婦)では月22万4,482円の年金を手にするというシミュレーションをしています*2

 

*1:『令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』

*2:厚生労働省HP『令和5年4月分からの年金額等について』

 

また金融広報中央委員会の調査によると、2人以上世帯で「金融資産を保有していない」*3のは、世帯主が60代世帯で20.8%、70代で18.7%となっています。

 

*3:預貯金口座/証券会社等の口座のいずれも保有していない世帯と、現在保有している金融商品が預貯金だけで、その合計残高のうち運用または将来の備えがゼロの世帯の合計

 

一方、単身世帯では「金融資産なし」が60代で28.5%、70代で28.3%と、2人以上世帯よりも高い数値を示しています。高齢者の単身者には、経済的な理由から結婚を諦めたという人も。そのため、おひとり様のほうが貯蓄が少ない/将来の備えができていない、というケースが多いのでしょう。

 

世界的にも困窮する高齢者が多い日本だが…

――年金の振込みまであと1ヵ月もあるが、財布のなかには小銭しかない

 

そんな様子を投稿する60代の独身男性。月5万円ほどの年金も残りわずか。「これでは、とても生きていけない」と綴っています。年金は原則年6回、偶数月の15日に支払われますが、財布の中の小銭が全財産だとしたら……とても残り1ヵ月を乗り切ることはできないでしょう。

 

困窮する高齢者。世界の主要42ヵ国のうち、日本の「65歳以上の貧困率(相対的貧困率=等価可処分所得が貧困ライン以下の世帯に属する人の比率)」は20.00%で11位。主要国の中でも「日本は貧困の高齢者が多い国」だといえます。

 

【世界主要国「65歳以上の貧困率」上位11】

1位「韓国」43.20%

2位「エストニア」34.50%

3位「ラトビア」33.80%

4位「ブルガリア」31.10%

5位「リトアニア」28.70%

6位「メキシコ」26.70%*3

7位「コスタリカ」24.80%

8位「オーストラリア」23.70 %*3

9位「アメリカ」23.00%

10位「南アフリカ」22.10%*4

11位「日本」20.00%*3

 

出所:OECD 資料: GLOBAL NOTE

※数値は2019年のもの。*1は2018年、*2は2017年の数値

 

世界と比べても貧困の高齢者が多いのは、収入は年金だけという人の割合が増えているから。現役時代の給与に匹敵するほどの年金を支給することなど無理なので、相対的に年金世代が貧困に区分されるのは無理のない話かもしれません。