トレーダーの仕事は稼ぐことではない
“日利1%のFXトレード”と聞いて、皆さんはどんな感想を持つでしょうか。
「FXなのにたったそれだけ?」と思う人もいるでしょう。ゼロに近い水準が続いている銀行預金の金利に比べれば相当高くはありますが、有名なFXトレーダーの中には年間数億円を稼ぎ出す人や、都心のタワーマンションに住んで高級車を乗り回している人もいるほどで、こうした人たちの稼ぎっぷりを見ていると、ずいぶん地味に感じてしまうかもしれません。
かくいう僕も、かつては同じ考えを持っていました。「お金はあり過ぎて困ることはないし、なるべくたくさん稼いだほうがいいに決まっている。トレーダーの仕事は、1円でも多く稼いで、資金を何倍にも膨らませて、一生遊んで暮らせるぐらいのお金を得ることなのだ」と信じて疑いませんでした。
しかし、こうした考え方にとらわれている限りは、長く勝ち続けるトレーダーになることはできません。それどころか、ほとんどの資金を失い破滅(はめつ)を招くということに気づくまで、15年ぐらいの月日を要しました。
FXの勝率は「50%」だが…“運任せ”は身を滅ぼす
FXは究極的には上がるか下がるかの世界なので、何の知識や経験を持たない人であっても、確率論として、半数は初めてのトレードでも勝つことができます。さらに4分の1の人は、2回続けて勝つことができます。そして8分の1の人は、3回続けて勝つことができます。
しかし、こうした運を天に任せるトレードをしていたら、よほど強運な人でない限りいつかは負けて資金がなくなります。そのことに気づいた多くのトレーダーたちは、勝率を高めるために勝てる手法を探したり、値動きを予想するためのチャートパターンを学んだりしているわけです。
それでも、こうした努力を重ねた人が必ず勝っているというわけでもありません。勝ち続けているトレーダーの手法を真似してみたり、経済ニュースやチャートとにらめっこして懸命に学んだりしているのに、それでも負ける人が大勢いるのはなぜでしょうか。
それは、自分の仕事を「稼ぐこと」だと勘違いしているからです。大金を稼ごうと思っていると、そのためにトレードをたくさんこなそうとするので、取引ツールにログインした瞬間からトレードを始めてしまったり、損失を出した直後に軽率なエントリーをしてしまい損失を拡大させてしまったりします。
初心者トレーダーの多くは、勉強すれば「いつでも」チャートを読んで値動きを予測できると思っています。しかし実際の為替相場の動きはほとんどが不規則で、1秒後にどうなるかはまったく予測ができません。そういうときにトレードをすると、結局は運を天に任せる取引になってしまうので、いつかは資金がなくなります。
では、勝ち続けているトレーダーは、どうやって確率に振り回されないトレードができているのでしょうか。