45歳で外資系コンサルに勤務するAさんは、15歳年下の妻に押し切られ、高級住宅街「成城」に一戸建てを新築しました。その後、事態は悪夢のような展開に……。一体なにが起きたのでしょうか? 本記事では、Aさんの事例とともに、住宅ローンの返済計画についてFP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
「成城生まれ・成城育ち」の15歳年下妻に押し切られ…「成城戸建て」を購入した“月収200万円・外資系コンサルの超エリート”45歳夫の哀れ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

高収入の裏には激務が…外資系コンサルの厳しい現実

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

終身雇用制度が崩壊した、といわれる日本ですが、大企業でも年功序列や派閥主義はまだまだ残っています。ですが、外資系企業は厳しく、Aさんのような外資系の総合系コンサルは、経営問題の解決策、戦略方法の策定や業務改革からIT戦略まで、幅広い知識や経験が求められる仕事で、「結果を出して当たり前」という世界です。

 

特にここ数年はDX(デジタルトランスフォーメーション)推進への取り組みに積極的な企業が増えてきて、残業だけでは足りずに土日も仕事をすることもありました。せっかく成城に建てた住居でもゆっくりすることはできず、たまの休みも妻が友達を集めてパーティーなどをして自宅の自慢をしています。

 

さすがに若い奥さんに優しかったAさんも疲れとストレスがたまってきて、小言が出るようになります。当然、気の強い奥さんも言い返してきますので、2人の仲はだんだんと悪くなっていきました。

 

新型コロナの後遺症で、住宅ローン破産の危機に…

さて、そんななか、Aさんは新型コロナに感染してしまいます。感染が拡大していたころですから、自宅で過ごす療養期間もかなり苦労をしたのですが、一番大変だったのは、「後遺症」です。時間の経過とともに改善する人が多いようですが、Aさんは疲労感や倦怠感のほかに経験したことのない関節痛や睡眠障害まで出てきました。

 

「40代も半ばになりましたので、年のせいとも思いましたがわかりませんので、病院にかかっているところです。なんだか自信までなくなってきました」

 

集中力もなくなった感じがあるとのことで、当然仕事にも影響してきます。外資系コンサルは結果が出せなかったら解雇もあり得る実力主義社会です。Aさんは退職も考えるようになりましたが、それは同時に2,400万円の収入がなくなることを意味し、8,000万円以上も残る住宅ローンが気持ちをさらに重くします。

 

「このままじゃあ、住宅ローン破産だなぁ」

突然妻に離婚を切り出され…Aさんのその後

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

年は離れていても、高い収入があり、クールでエネルギッシュに働くAさんに魅力を感じていた奥さんでしたが、病気で弱った姿を見たり「退職するかもしれない」と言い出したりしたことで、ある日突然、Aさんに離婚を切り出してきました。心身ともに疲れ切ってしまったAさんは申し出を受け入れ、現在は1人で成城の一軒家に住んでいます。

 

「しばらく休んで心機一転、海外で独立しようかとも考えて準備中です。家は売るつもりですが、場所もいいのでオーバーローン(住宅ローン残高が不動産価値を上回ること)にはなりませんし、独り身ですから年収が下がってもやっていく自信があります」

 

40代半ばとなったAさんですが、目の輝きは若さを取り戻したように感じました。

 

※ご本人の了解を得て公開・脚色しています。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表