忘れ去られた世代と揶揄されることも多い氷河期世代。就職できなかったり、就職できてもパワハラなどを受けて辞めてしまったりして、ひきこもり状態になる人が多くいました。そして昨今、問題視されているのが「8050問題」。高齢の親とひきこもりの子。その実態をみていきましょう。
月収42万円の大企業エリートだったが…年金16万円・81歳の父親に頼る、52歳男性の悲鳴「もう、人生つんだ」 (※写真はイメージです/PIXTA)

氷河期世代の52歳男性…以前は大企業で働いていたというが

中高年のひきこもりと共に問題視されているのが「8050問題」。80代の親が自宅にひきこもる50代の子どもの生活を支えるものの、そのうち経済的にも精神的にも行き詰まるのは明白。

 

――もう、人生つんでいる

 

そう投稿をしていたのは52歳の男性。以前、国内でもトップクラスの大企業に勤めていたものの人間関係に悩み、15年ほど前に退職。以来、実家にひきこもり状態にあるといいます。「81歳の父親の年金が頼り」という男性。厚生労働省『令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、81歳・厚生年金受給者の年金額は平均月15万6,744円。持ち家であれば、父子2人の生活は、いまのところ問題はなさそうです。

 

ただ親(母親はすでに他界)が80代になり、いままでにないほど、危機感を募らせているという男性。そこで、人と会わず、しかも自宅でできる仕事を始めたといいます。月収は5万~6万円程度で「ないよりはまし、という程度」だとか。まだ父親は元気だといいますが「いずれは親の年金には頼れなくなる」という事実を想像すると、絶望でしかないといいます。

 

大卒でひきこもり歴15年…52歳男性が65歳から手にできる年金額は?

仮に男性が大学を卒業し、大企業勤務のサラリーマンが手にする平均な給与を手にしていたとしましょう。退職前には月収42.3万円ほどで、その後は厚生年金には未加入だとすると、65歳から手にする厚生年金は単純計算月3.6万円ほど。国民年金を満額支給できれば、月10万円を手にできる計算です。現在の国民年金保険料の納付状況は分かりませんが、なんとか60歳まで払い終えることができれば、そんな未来を描くことができます。

 

*厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』より

 

ただそれは、いまから13年も後のこと。その間に父親の年金が途絶えたら……。

 

男性と同じような問題を抱えている家庭では、たとえば親が要介護となり生活が成り立たなくなったからといって、ひきこもり状態の子どもから支援等のアクションを起こすことは難しいでしょう。そこで多くの専門家は、元気なうちに親自身が地域の窓口などに相談するなど、アクションを起こすようにと呼びかけています。