忘れ去られた世代と揶揄されることも多い氷河期世代。就職できなかったり、就職できてもパワハラなどを受けて辞めてしまったりして、ひきこもり状態になる人が多くいました。そして昨今、問題視されているのが「8050問題」。高齢の親とひきこもりの子。その実態をみていきましょう。
月収42万円の大企業エリートだったが…年金16万円・81歳の父親に頼る、52歳男性の悲鳴「もう、人生つんだ」 (※写真はイメージです/PIXTA)

全国150万人弱いる「ひきこもり」

15~39歳で2.05%、40~64歳で2.02%。全国の数字にあてはめると約146万人。

 

これは内閣府『こども・若者の意識と生活に関する調査』で明らかとなった、ひきこもり状態にある人の数。同調査では、「趣味の用事のときだけ外出する」「近所のコンビニ等には出かける」「自室からは出るが、家からは出ない」「自室からほとんど出ない」のいずれかを選択した人のうち、現在の状態となって6ヵ月以上、かつ病気などを理由としない人を「広義のひきこもり」と定義しています。

 

それによると、現在の状況になった理由として、15~39歳では「退職したこと」21.5%、「人間関係がうまくいかなかったこと」20.8%、「中学校時代の不登校」18.1%、「新型コロナウイルス感染症が流行したこと」18.1%、「学校になじめなかったこと」12.5%と続きます。

 

 一方、40~69歳では「退職したこと」が44.5%で最多。「新型コロナウイルス感染症が流行したこと」20.6%、「病気」16.8%、「人間関係がうまくいかなかったこと」11.6%と続きます。

 

40~69歳、いわゆる「中高年のひきこもり」。調査から、定年退職を機にひきこもり状態になった人が多いことが伺えますが、40~50代も同様、退職してからひきこもり状態になった人が相当数いると考えられます。

 

この世代、1993年~2005年の就職難の時期に学校を卒業して社会に出なければいけなかった、いわゆる就職氷河期世代、といわれる人たち。大学を卒業したけれど正社員での就職が叶わず、以来、ずっと非正規社員として今日に至る。そんなストーリーがよく語られますが、さらに就職活動に失敗し、そのままひきこもり状態になってしまった、というケースも珍しくありません。

 

また当時はコンプライアンスなどの意識は、これっぽっちもなかった時代。どこでもいいからと、なんとか正社員になったものの、日常的に繰り返されるパワハラ、モラハラ。「できないなら、辞めてしまえ!役立たず!」などと暴言を吐かれ、ついに耐えきれずに退職。再起不能となり、そのままひきこもりに。「ずっと前、大企業に勤めていたんだけどね……」そう話す、中高年のひきこもりの人たちが、実は珍しくないのです。