一般墓よりも人気…「継承者不要」の樹木葬・納骨堂
お墓の在り方は生活スタイルによって変化してきました。継承者がいないことや、お墓が遠方にあるなどの理由から、現在のお墓を納骨堂や樹木葬に変えるという選択もできるようになりました。お墓を購入された方の傾向をみていきましょう。
<購入したお墓の種類>
1位…樹木葬
2位…納骨堂
3位…一般墓
4位…その他
2020年以降から、樹木葬が一般墓を上回る傾向にあります。(株)鎌倉新書の2023年の調査*によると、調査開始以降初めて樹木葬が過半数を超えました。樹木葬や納骨堂の「継承者不要」のお墓を購入される方が増えていることがわかります。従来型のお墓で悩みを抱えていた方にとって、継承者不要の条件は重要なポイントとなっています。
樹木葬・納骨堂の特徴、価格相場
■樹木葬
1999年以降、日本全国に樹木葬霊園が広がりました。現在の樹木葬は主に庭園タイプ・公園タイプ・里山タイプにわけられます。庭園タイプはガーデニング霊園、ガーデン墓地とも呼ばれます。
霊園や寺院の境内にある墓地に庭園が設けていることもあり、都市型の樹木葬ともいわれています。公園タイプは整備された園内の一角に樹木葬を設けていることがあります。公園タイプの多くは郊外にあるため広く、比較的値段が安い傾向があります。里山タイプは山林のなかでありのままの自然に還すというスタイルです。根元に遺骨を埋葬し、土へと還します。
樹木葬は区画や埋葬タイプで価格が異なります。
・個別埋葬タイプ
遺骨1霊ごとに1本の樹木を植え、その下に個別に埋葬する。相場は20~200万円。
・合葬タイプ
1本の大きな共同のシンボルツリーの周囲に、複数人の遺骨を埋葬する。相場は10~60万円。
・合祀タイプ
個別のスペースが存在せず、シンボルツリーの下でほかの方の遺骨と一緒に埋葬する。相場は10~20万円。
参考:いいお墓
■納骨堂
納骨堂が一般的に広まったのは大正時代といわれています。1923年に起きた関東大震災で多くの方が亡くなり、各地で墓石が破損したことから1926年に都内で納骨堂が建てられるようになりました。
1975年代頃から現在のような永代供養墓が広がりました。納骨堂は主に、仏壇式・ロッカー式・自動搬送式・位牌式・室内型墓地にわけられます。
納骨堂もその形式により価格が異なります。
・仏壇式
契約単位ごとに仏壇が用意されている。霊廟とも呼ばれる。相場は個人単位で約50万円~、家族単位で約100万円~。
・ロッカー式
扉付きで同じ大きさのロッカー棚のような納骨壇が並んでいる。お参りの際に遺骨を取り出すタイプもある。相場は20万円~。
・自動搬送式
都市部に多くみられるビル型・マンション型と呼ばれる施設全体が納骨堂になっている。相場は約70万円~。数千基もの遺骨が安置され、バックヤードから遺骨が自動で搬送される。ICカードキーを利用し、24時間好きなときに参拝できる納骨堂もある。
・位牌式
位牌を個人スペースのシンボルとして掲げる。相場は約30万円~。寺院の敷地内や寺院墓地にあることが多く、主に遺骨ではなく位牌を安置する。
・室内型墓地
一般的なお墓と同じように墓石を用意する。相場は墓石により異なるため100万円以上のものも。納骨堂のなかでも最も高額となる場合が多い。雨の日でも無理なくお墓参り同様にお花を手向け、墓石の掃除がでる。
参考:いいお墓
まとめ
昨今のお墓選びは自宅から30分以内のアクセスや継承不要などの条件が注目されています。また、単身やペットと暮らす生活が増えていることから、従来よりも自由度の高いお墓が求められています。故人らしさを尊重する海洋散骨や樹木葬などが今後さらに選ばれていくと考えられます。
【参考】
*(株)鎌倉新書【第14回】お墓の消費者全国実態調査(2023年)霊園・墓地・墓石選びの最新動向