「寝る姿勢」と「一緒に寝る相手」が深く関係
さらに、寝る姿勢と乳幼児突然死症候群の関連性として、
●仰臥位(ぎょうがい)で寝かせられなかった乳児は、睡眠関連の窒息になるリスクが1.9倍(95%信頼区間:0.9~4.1倍)、原因不明の乳児死亡のリスクが1.6倍に増加(95%信頼区間:1.1~2.4倍)
●柔らかい寝具を使用すると、柔らかい寝具を使用しない場合と比較して、原因不明の窒息の確率が16.3倍(95%信頼区間:5.0~53.3倍)、原因不明の乳児死亡が5.0倍増加(95%信頼区間:3.2~8.0倍)
●ベビーベッド、バシネット、またはポータブルベビーベッドで寝かせられなかった乳児は、ベビーベッドで寝た乳児と比較して、窒息死の可能性が3.9倍増加(95%信頼区間:1.4〜10.4倍)
などがみられました。
加えて、これらのリスクを超えて、乳幼児突然死症候群のリスクがもっとも高かったのが「母親や乳母と寝室を共有していなかった乳児」です。
なんと、母親と乳児が一緒の部屋で寝ていない場合、睡眠関連の窒息で死亡する可能性が18.7倍高く(95%信頼区間:6.8~51.3倍)、原因不明で死亡する可能性がほぼ7.6倍高かった(95%信頼区間:4.7~12.2倍)ことがわかっています。
では「母親以外でも一緒に寝ていればよいのか」というと、そういうわけではありません。
他の人や動物と寝床を共有した乳児でも、原因不明の乳児死亡のリスクが2.1倍に上昇していたのです(95%信頼区間:1.4〜3.2倍)。やはり乳児を一番に気にかけてくれる「母親」の存在が大切だと考えられます。
乳幼児突然死症候群を防ぐのは「普段の心がけ」
このように考えると、乳幼児突然症候群の原因ははっきりわかっていないものの、
●赤ちゃんを迎える準備をきちんとしてあげる
●赤ちゃんが安心して寝られる環境をととのえてあげる
ことで、リスクを大きく下げることができるといえます。さらに、もっとも大切なのは「お母さんが赤ちゃんと一緒の空間で寝てあげる」こと。
夜泣きなどもあり、すごく大変ですよね。とてもよくわかります。
しかし、お母さんが頑張った分、目には見えていないかもしれないですが、赤ちゃんは「安心して」眠ることができるのです。
乳幼児突然死症候群。原因もはっきりしておらず、とても怖い病気です。だからこそ、自分たちができるケアと愛情を、赤ちゃんに注いであげてください。
秋谷 進
東京西徳洲会病院小児医療センター
小児科医