株式投資で銘柄を選ぶ際、その会社の「社長」に注目し、経歴や過去の発言などを投資判断の参考にする投資家は少なくありません。そのようななか、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏は「経営者の発言は話半分で聞くべき」と警告します。それはなぜか、詳しくみていきましょう。
投資のプロが「メディアでもっともらしい発言をする経営者は要注意」と警告するワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

どんなに優秀な経営者でも「完全な未来予測」はできない

何千社もある上場企業のなかには当然、優秀な経営者も、そうでもない経営者もいます。そして優秀な経営者は、将来を見据えてその会社が進むべき方向を示し、それを実行していきます。

 

ただし、それは百発百中ではありません。どんなに優秀な経営者でも、完全な未来予測などできないのです。

 

また、実際に物事を実行するというのは「言うは易し行うは難し」であり、現実はなかなか思う通りには動かないものです。

 

経営者が「何年後に純利益をいくらにする」などと複数年の経営目標を掲げたにもかかわらず、それが達成できないケースというのも、よくある話です。ですからそういう発言は、話半分に聞いておいた方が賢明なのです。

経営者は自社の明るい未来を語らなければならない

しかしながら、経営者は常に、自社の明るい未来を語る必要があります。

 

自分自身そう信じていないと経営などできない、という面もあると思います。また、「法螺(ホラ)」ともいえる大きなことを言い、それを自ら本気で信じている人もいるかもしれません。

 

そして、実は本音ではそこまで楽観的になっていなくても、経営者の周りには株主・取引先・従業員といった多数の利害関係者が存在するため、明るい未来を語らざる得ない面もあります。

 

「この会社の先行きが心配だ」などと思われたら、株価が下がり、取引を停止され、離職者が増えるということもあり得るのです。

 

ですから経営者というのは、たとえ願望であろうと強がりであろうと、明るい未来を語らざるを得ない仕事であるともいえます。これは本人の人格や誠実さとは関係なしに、そういう立場であり、そういう仕事であると、投資家サイドとしては冷静に見ていたほうがよいのでしょう。