どんなに優秀な経営者でも「完全な未来予測」はできない
何千社もある上場企業のなかには当然、優秀な経営者も、そうでもない経営者もいます。そして優秀な経営者は、将来を見据えてその会社が進むべき方向を示し、それを実行していきます。
ただし、それは百発百中ではありません。どんなに優秀な経営者でも、完全な未来予測などできないのです。
また、実際に物事を実行するというのは「言うは易し行うは難し」であり、現実はなかなか思う通りには動かないものです。
経営者が「何年後に純利益をいくらにする」などと複数年の経営目標を掲げたにもかかわらず、それが達成できないケースというのも、よくある話です。ですからそういう発言は、話半分に聞いておいた方が賢明なのです。
経営者は自社の明るい未来を語らなければならない
しかしながら、経営者は常に、自社の明るい未来を語る必要があります。
自分自身そう信じていないと経営などできない、という面もあると思います。また、「法螺(ホラ)」ともいえる大きなことを言い、それを自ら本気で信じている人もいるかもしれません。
そして、実は本音ではそこまで楽観的になっていなくても、経営者の周りには株主・取引先・従業員といった多数の利害関係者が存在するため、明るい未来を語らざる得ない面もあります。
「この会社の先行きが心配だ」などと思われたら、株価が下がり、取引を停止され、離職者が増えるということもあり得るのです。
ですから経営者というのは、たとえ願望であろうと強がりであろうと、明るい未来を語らざるを得ない仕事であるともいえます。これは本人の人格や誠実さとは関係なしに、そういう立場であり、そういう仕事であると、投資家サイドとしては冷静に見ていたほうがよいのでしょう。