わずか、非正規社員平均の6割程度の給与…衝撃の年金額
厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、大卒・男性・正社員(雇用期間の定めなし、平均年齢42.1歳)の平均月収は40.1万円。賞与も含めた年収は平均661万円です。
それに対して、大卒・男性・非正規社員(雇用期間定めなし、平均年齢51.3歳)の月収は26.3万円。年収は平均372万円。正社員と非正規社員、年収で1.7倍の差が生じています。
前出の男性と同様、40代後半で比較してみると、正社員は月収50.7万円、かたや非正規社員だと24.3万円。ダブルスコア以上の給与格差が生じます。さらに前出の男性は月収15万円だといいますから、平均値の6割程度という低賃金に甘んじています。
大学卒業以来、非正規社員の6割という給与で65歳まで働き続けるとすると、生涯賃金は9,316万円と1億円に届きません。また65歳から手にする厚生年金は単純計算、月4万1,000円程度。国民年金を満額もらえるとすると、月10万5,000円。現役を引退して年金だけで暮らしていく、と宣言するには心許ない金額でしょう。
現在、厚生年金に加入できるのは70歳まで。そこまで保険料を払い年金を増やそうとしたら、厚生年金は月4万6,000円程度と、5,000円ほど増加します。焼け石に水、といったレベルでしょうか。
ただ年金支給年齢を繰り下げる「年金の繰下げ受給」で、75歳まで年金の受取りを待ったとしたら、年金は65歳での支給額よりも84%アップ。老齢基礎年金・老齢厚生年金それぞれについて増額され、その増額は生涯続きます。そうなると75歳で手にする年金額は月19.3万円。48歳時点の月収を大きく超え、やりくりの仕方によっては「年金だけ」でも暮らすことができそうです。
不遇の世代といわれ、卒業以来、「良いことなんてなかったよ……」が口癖の就職氷河期世代。非正規社員としてでも75歳まで年金を受け取らずに働いた先には、少しは報われる未来が待っている……それが幸せなことだと錯覚してしまうほど、現在の絶望感はかなりのものです。