企業が効果的な金融教育を実施するうえで「重要な3つのポイント」
金融教育を実施する際には、以下の点に注意してプログラムを企画・実施することが重要です。
(1) 外部専門家の活用
多くの企業は、金融教育の研修を取り入れることの重要性を理解しているものの、実際に研修の実施に労力を割くことが難しい場合があります。実際、企業型DCの継続教育を実施していない理由の37.9%は「教育に時間を割けない」と回答しています4)。
そのため、企業はファイナンシャルプランナー(FP)や独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)、金融教育コンテンツを提供している会社と連携し、金融教育プログラムを導入することは検討余地があるでしょう。
(2) 実践的な学びの場
金融教育では、理論だけでなく実践的なスキルやノウハウを学べるプログラムを提供することが重要です。シミュレーションやケーススタディを活用して、従業員が実際の資産運用や家計管理に応用できるスキルを習得できるようにすることが望ましいです。
(3) 継続的な学習のサポート
金融教育は継続的に学ぶことが重要です。企業は、定期的な研修やフォローアップを行い、従業員が着実にスキルを向上させることができる環境を整える必要があります。
たとえば、オンラインコースやセミナーを活用して、従業員が自分のペースで学習できるようにサポートすることが効果的です。また、金融知識やスキルのアップデートに対応した教材の提供や、社内での情報共有の場を設けることも、継続的な学習を促進する方法として考えられます。
企業が認識すべき「金融教育プログラム」の重要性
新入社員の金融教育は、従業員の資産形成や家計管理能力の向上、企業のブランド力や採用競争力の強化に寄与する重要な取り組みです。企業は、従業員のニーズに応じた金融教育プログラムを提供し、継続的な学習のサポートを行うことで、新入社員の金融リテラシー向上に貢献できます。
企業が金融教育の取り組みを行い、従業員が経済的な安定感をもち、より良い働き方ができる環境を整えることが期待されます。
盛永 裕介
(株)Japan Asset Management JAM Academy 塾長
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出典:
1)三井住友トラスト・資産のミライ研究所(2022)「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」
2)日本証券業協会(2022)「NISA口座開設・利用状況調査結果(2022年9月30日現在)について」,pp.1
3) MUFG資産形成研究所(2020)「従業員エンゲージメントと金融リテラシーの関係性について」
4) NPO法人確定拠出年金教育協会「企業型DC担当者調査やiDeCoナビに見るDCの現状と課題について」
国税庁「給与所得の源泉徴収税額表」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2021/data/01-07.pdf
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/
株式会社RES「出世感・資産」調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000107120.html