新入社員のための金融教育プログラム「4つの柱」
以下では、金融教育プログラムの例を紹介し、新入社員が金融リテラシーを向上させるために学ぶべき内容について解説します。
(1) 給与明細の読み方と理解
まず、新入社員には給与明細の各項目(勤怠・支給・控除)の読み方や、総支給額と手取り額の違いを理解することが重要です。
給与明細から、社会保険料や税金の控除、さらに会社で加入した保険や労働組合費、財形貯蓄などの天引きがどのように計算されているかを把握することができます。これにより、自分の収入や支出を正確に把握し、自由に使えるお金を明確に理解することができます。
(2) ライフプランの作成とリスク管理
結婚、出産、マイホーム購入、老後など将来の生活設計を立て、それらを実現するために必要な資金や期間を把握することが重要です。たとえば、子どもの教育費や住宅ローンの返済額を考慮し、現在の収入や支出を鑑みて将来の予測を立てることで、貯蓄の目標に目途をつけ、計画を策定できます。
加えて、この段階でリスク管理についても考慮することが望ましいでしょう。たとえば、失業や病気などのリスクに備える方法を学ぶことで、将来の不測の事態に備えることができ、安心して生活設計を実現することができます。
(3)家計管理と収支管理の重要性
資産形成と家計管理は表裏一体です。資産形成と家計管理の両輪を適切に行うためには、収支管理を理解し、家計簿の作成方法や投資・消費・浪費の違いを学ぶことが重要です。
家計簿は、収入と支出をカテゴリ別に記録できるアプリを活用することがおすすめです。家計簿を作成した後、まずは無駄な浪費を見直しましょう。食費や交通費など、生活を維持するための消費に注力することで、家計のバランスを保つことができます。
(4)金融商品の特徴やリスクの理解
金融商品は新入社員にとって馴染みがないため、金融商品の種類や特徴、リスクについて学ぶことが重要です。銀行預金や国債など確実性の高い商品から、株式や投資信託などリスク(不確実性)の高い商品まで、自分に合った商品を選ぶためには、それらの特徴やリスクについて十分に理解する必要があります。
また、投資の目的に応じたリスク管理やポートフォリオ(各金融商品の組み合わせ)の組み方を学ぶことが望ましいでしょう。ライフプランを基に、長期的な視点や分散投資、積立投資などを考慮して、投資先を選定することが重要です。
初心者にとって取り組みやすい方法として、政府が推進する投資制度であるNISA制度やiDeCoを活用することも一つの手段となります。