なぜ今、職場における金融教育のニーズが高まっているのか?
政府が「貯蓄から運用へ」を推奨する現代において、会社が金融教育を提供することは重要です。新入社員が正しい知識を身につけ、将来の資産形成に向けた適切な準備を行い、安定した生活やキャリアを築くための基盤づくりを後押しすることができます。
三井住友信託銀行のアンケート調査1)によると、「職場で金融教育を受けたと」答えた方の割合は、約1割程度にとどまっており、職場での金融教育の浸透はまだまだ十分とは言えない状況です。
一方で、若手社員を中心に資産形成への意識が高まっており、つみたてNISA口座数は2022年9月末時点で466万口座と、2021年末の339万口座から37.6%も増加しています2)。
金融知識が不十分なまま資産運用を始めると、損失を被る可能性が高まるだけでなく、詐欺や悪質な投資案件に騙される危険性も増します。そのため、企業は新入社員や若手社員に金融教育の機会を提供し、正しい金融知識を身につけさせることが重要です。
企業が金融教育を実施するメリット
個人が資産形成を推進することは重要ですが、企業が従業員の資産形成をサポートすることで得られるメリットがあります。MUFG資産形成研究所3)の調査によると、企業が金融教育を実施することで、従業員のエンゲージメントが向上し、組織への愛着や貢献意欲が高まるとされています。
また、金融リテラシーが高い若い世代ほど、マネジメント職への意欲があり、ビジネスマンとしてのスキルが向上することが示唆されています。
金融リテラシーの向上は、キャリア発展やリーダーシップ能力育成にもつながります。企業は金融教育の重要性を認識し、従業員向けの研修や教育プログラムを充実させることが望ましいと考えています。
さらに、資産形成に関する福利厚生制度について、求職者の就職先選定に影響するデータ1)もあります。企業が福利厚生制度を充実させることで、ブランド力や採用競争力が向上し、優秀な人材を惹きつけることができるでしょう。