平均的な無職・高齢者夫婦で「月2万円」の赤字だが…
年金だけで生活をするには少々厳しいなか、貯蓄を切り崩していくしかほかありません。では日本人の貯蓄事情は、どうなっているのでしょうか。
厚生労働省『2019年 国民生活基礎調査の概況』によると、「貯蓄がある」と返答したのは81.9%で、「1世帯当たり平均貯蓄額」は1,077万4,000円。高齢者世帯では、「貯蓄がある」と返答したのは80.1%で、「1世帯当たり平均貯蓄額」は1,213万2,000円でした。そもそも貯蓄がない、という世帯は論外ではありますが、平均的な高齢者世帯であれば、老後の備えは十分といったところです。
それでも年金頼みの高齢者からは悲痛な叫びが聞こえてきます。
帝国データバンクによると、2022年の平均値上げ率は14%。そして今年、2023年はすでに平均18%と上回っています。仮に消費支出全体が18%上昇したと仮定すると27万9,301円。単純計算4万円の出費増となります。その分、年金も……というわけにはいかないのはご想像のとおり。
――出費がどんどん増えて……どう生きていけというのでしょう
と、高齢者たちの悲鳴。消費支出全体が18%増と、実際はこんなに単純な話ではありませんが、未曽有の物価高にできることといえば可能な限り節約をするしかありません。
このような高齢者の惨状を前に、現役世帯は老後を見据えて何をすべきなのでしょうか。ひとつの選択肢が、インフレ率を超える資産運用を目指すというもの。年金減額も現実味を帯び、社会負担が増すばかりのなかでも、「自分の身は自分で守る」という道が最良だといえるでしょう。