45歳で未亡人…「遺族年金」で高校生の我が子を育て上げることはできるか?
遺族年金には「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」があります。
遺族基礎年金は、国民年金の被保険者等であった人が受給要件を満たしている場合、亡くなった人によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が受け取ることができます。ここでいう子は18歳になった年度の3月31日までにあるか、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にあるかを指します。
遺族厚生年金は、亡くなった人が「厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき」などの要件を満たしている場合、遺族に支給されます。受給対象者は、死亡した人に生計を維持されていた遺族のなかで、優先順位の高い人が受け取ることができます。優先順位1位は妻、その次に子と続きます。
では前出の国勢調査より、最も多い「40代後半の妻×15~17歳の子ども」のパターンで考えてみましょう。亡くなった夫も妻と同年齢で45歳とします。
まず遺族基礎年金は、79万5,000円 + 子の加算額(令和5年4月分から)。加算額は、1人目および2人目は各22万8,700円、3人目以降は各7万6,200円となります。この場合は、月8.5万円程度になります。
次に遺族厚生年金ですが、年金額は死亡した夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3。亡くなった夫が大卒で平均的な給与を得ていたサラリーマンだとすると、会社員人生通しての平均標準報酬額は47万円となります。また被保険者期間が300月(25年)未満の場合、300月とみなし計算するので、遺族厚生年金は月4.8万円程度になります。
つまり合計13.3万円が遺族に支払われることになります。東京都23区の最低生活費は19万7,970円(住宅扶助基準額6万4,000円)なので、亡夫が家計を支えていた家庭であれば「これで、どう生きていけと……」肩を落とす金額です。
さらに遺族基礎年金を手にできるのは、子どもが18歳になった年度の3月31日まで。悲しみを乗り越え大学に進学……そんなタイミングで支給停止となります。遺族厚生年金は以降も支給されますが、トータルでは大きな減額となってしまうのです。子どもの教育費は大学進学で一気に跳ね上がりますが、遺族年金額の大幅減額で進路を変えざるを得ないケースも出てくるでしょう。
遺族年金は「万が一があっても大丈夫」という水準を期待することはできません。普段から不測の事態に備えておくことが重要です。