毎朝、新聞を届けてくれる配達員。新聞奨学生のイメージが強いですが、意外にも高齢者の配達員も多くいます。なぜ朝早く、体力的にも厳しい新聞配達員をしているのでしょうか。みていきましょう。
77歳・女性アルバイト、毎朝4時の新聞配達「時給1,070円」の絶望…生活保護もムリ「最期まで働くしかないのか?」 (※写真はイメージです/PIXTA)

元会社員・公務員…年金5万円以下が39万人の現実

「やりがいや生きがいのため」「健康維持のため」……70代後半になっても新聞配達員を続ける事情はいろいろ。しかし高齢者が働き続ける理由として切実なのは「低年金」ではないでしょうか。

 

厚生労働省『令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、77歳の厚生年金受給者は57万5,036人で、年金受給額は平均月14万7,881円(国民年金+厚生年金)、国民年金受給者は126万2,531人で平均月5万6,169円です。ライフスタイルによりますが、国民年金だけの受給では相当の蓄えがないと、老後、暮らしていくことはできそうもありません。

 

また厚生年金受給者の年金受取額の分布をみてみると、年金月10万円未満は374万人で全体の23%、月5万円未満は39万人で全体の2.4%です。支えてくれる家族もおらず、さらに取り崩す貯蓄もない……そうなると選択肢は「働けるうちは働く」の一択になります。

 

ーー生活保護があるじゃない

 

そう考える人もいるでしょう。しかしたとえ高齢で年金世代であっても、働いて収入が得られると判断されれば「働きませんか?」と提案され、申請はなかなか通らないのが現実です。

 

――いつまで働けばいいですか?

 

仕事を辞めたくても辞めることのできない高齢者のため息まじりの質問。それに対する答えは、なんとも絶望的なものでしかありません。